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    東南アジアの農産物が日本へ  

新聞から
[ニッポンの食]東南アジアの旅から 91.02.22 東京本紙朝刊  *九割が日本へ

 豊かな水をたたえたタイ・ メナム川のデルタ地帯とシャム湾沿いに二千キロに及ぶ海岸線。 そこはエビの養殖には絶好の地域だ。広大な“畑”のような養殖池から 三カ月に一回程度、水揚げされたエビが加工され、日本の台所に送られている。

 このタイランド・フィッシャリー・コールドストレージ (タイ水産冷蔵倉庫)会社の工場は、現在、エビの加工品 の約九割を日本各地の生協に出荷している。日本生活協同 組合連合会などと提携して急成長しており、タベサク・ラオトラクル会長(39)は 「日本の消費者からは、新鮮さと味を第一に求められているので加工時間の短縮に努 力している。アメリカ向けは衛生上の問題を重視し、塩素でバクテリアを除いている が、日本では逆に塩素くさいと嫌われますね」と話す。

  東南アジアはまた農 水産物の「原料供給地」としてだけでなく、「生産加工拠点」でもある。高齢化と 人手の確保の面で日本の食品加工工場の前途は険しい。そこで人件費が日本の約十 分の一以下という東南アジアに注目が集まってきた。

 *野菜や果実も…
 日本の食品産業は、日本から技術を導入し、現地の労働力を利用して生産加工す る「開発輸入」方式で東南アジアに進出。日本側はコストの削減、タイ側は日本の 資金援助と加工技術の導入を期待し、合弁会社の設立に弾みがついている。昨年四 月には、日本協同組合貿易もタイの生協組織などと「コープ・フード・タイランド」 を設立し、トンムアンさんの工場の隣に高度化した水産加工工場を完成させた。エ ビのパテ、からし明太子、イカの珍味などを加工し、日本の生協向けに輸出する予定だ。

 水産物だけでなく、タイではいま日本向けにタケノコ、枝豆、冷凍野菜・果実の 生産も始まっている。
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    パワーを秘めた野菜たち  

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新聞から
[特産品市場]旬の味を伝えたい「パワーを秘めた野菜たち」 ――群馬・甘楽町 6.02.01
 農薬や化学肥料を使わない農業にこだわ っている群馬県甘楽町の「甘楽町有機農業研究会」(特約農家8軒)では、有機栽 培で育てた「パワーを秘めた野菜たち」のオーナーを募集している(500人程度。 4月30日まで)。

 有機農業は、土づくりから始まる。健全な土壌から育った 野菜は、大地にしっかりと根を張り、地球の成分であるミネラルをたっぷり吸い上 げて育つ。ハウス育ちの野菜とは異なり、安全で味も栄養分も違うのは当然のこと。

 年会費1万5000円。宅配は、年5回。旬のみずみずしい野菜が、小人数で も食べきれる量(1個あるいは0.5〜2キロ)で送られてくる。1回目の7月便 はジャガイモ、タマネギ、カボチャ、枝豆など6種類。野菜の由来やおいしい食べ 方なども同封されている。

 申し込みは〒370―22群馬県甘楽郡甘楽 町大字小幡161の1
 甘楽町役場農林課「甘楽町有機農業研究会」事務局へ。
電話0274・74・3131。
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野栄町らしさ求め、21世紀へ町づくり――農業塾が3月に誕生 /千葉 96.02.15
 ◇生産者ら100人が、研究・情報機関として 活動
 匝瑳郡野栄町に三月三日、「野栄いきいき農業塾」が誕生する。 町の基幹産業が農業とはいえ、これといった特産品がなく「野栄町らしさ」 がないとの町民の声もあって、農業生産者団体を中心に百人の塾生で、農業 はもちろん町全体の産業を視野に入れた町づくりを目指そうとの狙い。

 人口約一万三百人の町は、農家戸数九百四十戸で耕作面積は水田七六〇 ヘクタール、畑六一〇ヘクタールほどだが、専業農家は約百戸・二百人 に過ぎず、ほとんどが兼業農家。農作物も一時、特産だったピーマンも いつの間にか耕作者が少なくなり、エダマメ、トウモロコシ、ナス、 トマトが栽培されているものの「特産品」として生計を立てている農家 はない。それでも数年前から植木生産組合(伊藤良一組合長、七十三戸) の中に鉢植木部が誕生、十七戸でセンリョウの鉢植えに挑戦、注目を集め ている例もある。

 いきいき農業塾については昨年十二月に四十七 人で開塾準備委員会(会長・勝又藤男町農業委員会長)を結成。検討を 続け、「二十一世紀に向けた農業の経営の確立と魅力に満ちた町づくり 」を目的にした農業塾をスタートすることになった。

 塾生は町内 の農業生産者や関連業種、農協など関係機関の百人で、講演会や視察な どを実施し、町の新しい農業を考える研究、情報機関として活動する。
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    いきいき農業塾  

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新鮮さ楽しむ容器栽培、園芸学者が手ほどき−−農林中金「野菜教室」 が人気 /静岡 96.07.06
 「畑なしでも上手に育つ」 をキャッチフレーズにした「野菜教室」(農林中金静岡支店主催)が 、人気を集めている。増田繁・静岡大名誉教授(69)が、植木鉢など を使ってキュウリ、エダマメなどを育てる容器栽培をわかりやすく解説。 「ベランダなど狭い場所でも、新鮮な野菜ができ、食べられる」と主婦 たちの参加が増えている。

 「クレオパトラ、みなさんも知ってる エジプトのべっぴんさん。そのクレオパトラも食べたのが、このモロ ヘイヤ」 園芸学者として40年余りの経験を持つ増田さんは、軽妙 な話しぶりで会場を沸かす。毎月1回、静岡市中町の同支店内で開く 「野菜教室」は、100人ほどがつめかける。

 容器栽培とは、 バケツや空き缶、リンゴ箱など身近な容器で野菜を育てる方法。増田さ んは「団地のベランダなど狭い所でも新鮮な野菜ができるのがメリット」 と普及に励む。

 参加者の大半は女性で、静岡市弥勒の主婦(49) は「麻袋に土を入れ、キュウリを5月に植えたら、もう31本できた。 近所に配り、喜ばれた。育てる楽しさと新鮮な手作り野菜が食べられる 一石二鳥。子供も大学生になり、暇ができたので増田先生の話を聞くの が楽しみ」と話す。

 熱心に質問していた男性(26)は「病気で 通院中だが、スイカなどを育てる楽しさが体験できた」と栽培の喜びを 語る。「自転車で30分もかけて通う。現代人は土地の感触に飢えてい るのではないか」と言う女性(78)も。

 主催する主浜富美男・ 同支店課長は「顧客サービスとして無料で2月から始めたが、主婦層に 人気を呼び、参加者が増えていった。都会の狭いスペースでも栽培でき るのが受けており、増田先生の説明のうまさも人気の秘密」とみている 。
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    野菜教室  

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[長寿・若返り食入門]枝豆 科学の「おつまみ」 96.07.21
 人生は、野越え、山越えの長い長い旅みたいなものです。 どうせ長旅なら 、風景に感動したり、おいしい料理を食べたりして、楽しんだ方がよいに決ま っています。

 時には、病気になり、一服して寝込むようなこともあるで しょう。焦る必要はありません。早く回復して、元気になって、また歩き始め ればよいのです。人生の“旅仲間”は、みんなで待っています。 元気で、よ り遠くまで、人生の旅を楽しむためには、健康と若さが欠かせません。

健康や若さを保つのも、食べものなのです。 そこで、人生旅行の“おつまみ” にお勧めしたいのが、今が旬真っ盛りの枝豆。まだ、完熟していない、青い大 豆を枝つきのまま刈り取ったもので、大豆はもちろん豆類ですが、枝豆は、分 類の上からは野菜に入ります。

 エダマメの語源は「枝成り豆」で、すで に奈良時代にはゆでた枝豆が、涼しさを呼ぶ夏の風味として楽しまれていまし た。 枝豆は、大豆の子どもですから、たんぱく質が多いのは当然としても、 親よりも偉いのは、親にはほとんど無いビタミンAやカロチン、ビタミンCを たっぷり含んでいるという点でしょう。

 がんや風邪などの予防作用で知ら れているビタミンCや、これまたがん予防効果のビタミンA、そして、老化防止 のカロチンなどの成分は、野菜に多いものであり、枝豆を食べるということは、 「大豆」と「野菜」を一緒にちょうだいするようなものです。 夏のビールのお つまみというと、何といっても、よく冷やした枝豆が定番。さっぱりしていて、 どんなものとも味の相性がよいですし、コバルトグリーンの色彩がいかにも涼感 を呼ぶというのが、大きな理由ではありますが、それだけではないという点にも 、注目してほしいのです。

 実は、二日酔いとか悪酔い防止に役に立つ成分が 立派に含まれているのです。 枝豆には、アルコールの代謝を促進させるビタミ ンB1、それに、肝臓の働きを向上させるうえで役に立つコリンが豊富ですから、 悪酔いや、二日酔いの防止に効果的なわけです。

 B1は、頭の機能とも関係 があり、脳の疲れを軽くしたり、記憶力や集中力を高めるための重要な働きもし ているといわれています。 ビタミンB1は、スタミナや疲労の回復にも不可欠で 、夏のむし暑さに苦しむ日本人が、ビールや酒のおつまみに、枝豆を選んだという 背景には、ちゃんとした知恵と、科学的な根拠があったのです。

 コリンはビタ ミンB群の仲間ですが、こちらにも、頭脳力の向上や脳の老化防止などの効果があ るといわれ、情報化時代のおつまみとしても見直す価値がありそうです。
 繊 維質も生の状態で100グラム中に約10グラムも含まれており、整腸効果が期待 でき、おなかの中を軽くするうえで役に立ちます。カルシウムやとり過ぎた塩分を 追い出すカリウムも豊富。

 枝豆を塩ゆでにする場合、たっぷりの湯を沸かして 枝豆を入れ、はしでかき混ぜながら強火にしますが、塩をひとつまみ入れると、青 々と色鮮やかにゆで上がります。
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    おつまみとしての枝豆  

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[味な放浪記] 花火をみながら、暗闇でつまむ“夏” 96.08.13
 毎年、8月の第1土曜日には千葉県の手賀沼の花火大会に行くことに決 めている。
柏市と我孫子市と沼南町が手賀沼の上で花火の競演をするのであ る。友人が北柏に住んでおり、夕方から場所取りをしておいてくれる。寝ころん でいる頭の上で破裂する花火のごう音と美しさは格別だ。その花火を見ながら、 友人の家人が用意しておいてくれた料理をつまむ。家人は帝国ホテルの料理長 の料理の一代記を書くくらいだから、いわば料理の専門家である。だからとい って当日はナイフとフォークを使った西洋料理が出てくるわけではない。花火 を見ながらの食べ物の条件はまず指でつまめなければならない。辺りは真っ暗闇 (くらやみ)だからはしを使うこともままならない。そこで料理の種類も限られ てくる。まずエダマメである。ゆでたエダマメが料理といえるかどうかは別とし て、まずおいしいエダマメの選定がむずかしい。普段からどこの店のエダマメが うまいか研究しておかなければならぬ。硬くなく軟らかくなく、ほどよい加減に ゆでる術(すべ)だってばかにはならない。エダマメこそ夏の味覚である。

 トリの空揚げもうまかった。ビールにはこの空揚げがまたよく合うのである 。暗闇でそれらをつまみながらビールが進む。 残念ながらこの日は時々小雨 交じりの曇りの天気であった。花火が高く上がると低く垂れこめた雲間に隠れ て見えない。 「本当はあんなもんじゃないんだ。もっともっときれいなんだ 」としきりに弁明するが、月にむら雲の例えもある。雲間に見える花火という のもなかなか風情があっていいものだ。

    究極のえだまめ   

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[特産品市場]究極の枝豆登場−−京都府農業総合研究所 96.09.26
 ビールと言えば、枝豆。夏が盛りだが、この秋、大粒 で甘みのある新顔の枝豆が登場、話題を集めている。 その名も黒大豆え だまめ「紫ずきん」=写真。最高の品質を誇る京都の「丹波黒大豆」から 生まれた究極の枝豆。今月下旬から地元京都をはじめ東京、大阪市場に初 出荷。新しい秋の味覚として期待されている。

 京都府農業総合研究所 が、研究改良を重ね、丹波黒大豆の特長を生かしながら、約2週間ほど成 熟時期を早めることに成功した。
 粒がうっすらと紫色に色づくこと や、形がずきんに似ていることから、枝豆用品種として昨年12月に知事が 「紫ずきん」と命名。
 普通の枝豆(白大豆)に比べて粒が大きく、丹 波黒大豆の香りとともに重厚な味わいが楽しめる。通常の枝豆と比べ、値段 も3倍。150グラム入り、300円前後。
 京都府東京経済情報セ ンター(03・3273・1171)。
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    豆名月  

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[新季語拾遺]後の月 96.10.21
 陰暦8月の十五夜に 対して、9月十三夜の月を後の月と言う。「後の月という時分が来ると、 どうも思わずにはいられない」と始まるのは、伊藤左千夫の小説『野菊の墓』 。15歳の民子と13歳の政夫の清純な恋を描いた名作だ。

 『野菊の』の 名場面は、今夜が後の月だという日、民子と政夫が畑へ綿摘みにでかけるところ。 政夫は民子に向かって、「民さんは野菊のような人だ」と言い、また、野菊が「 大好きだ」と告白する。10代のころ、私はこの場面にあこがれた。 さて、 50代になった近年の後の月の時分、わが家では枝豆の買い出しにでかける。

枝豆は丹波地方の黒豆。車に詰め込んで戻り、東京などの友人に送る。酒のつ まみとしても好評。ちなみに、後の月は豆名月とも言い、今年は10月24日。
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    丹波黒豆  

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丹波黒大豆の発祥地丹波農協です。
住所は以下の通りですが、丹波農協で は丹波黒大豆の販売はもとより黒大豆加工品(菓子、納豆、煮豆、枝豆)等々 沢山の特産品として全国の皆様にご愛用頂いております。
今回、枝豆の豆知 識なついてのぞかせて頂きました。大変、勉強になり参考にさせていただきたく 思います。今回、丹波農協では丹波黒大豆冷凍枝豆を商品化して(4年前から加 工試験していました)全国に販売しています。
京都紫ずきんより美味しいと 思います。品種はすべて丹波黒川北、本黒いつかどこかでお口に入れていただき ますようにお願い申しあげます。価格は日本一高いと思います。
現状では、 京都料亭、旅館、ゴルフ場など、業務用が多いです。

丹波農協では黒大 豆はもちろん、黒大豆加工品の開発も含め付加価値をつけて販売いたしておりま す。黒大豆小袋、ビン入り煮豆、思暮里豆、納豆、おかき、せんべい、飴、等々 年間の売り上げ5億円となりました。今回、枝豆の豆知識のぞかせて頂き大変さ んこうになりました。丹波農協でも4年前から本黒冷凍枝豆を研究し昨年8年度 から販売いたしております。
大変美味しく、人気者です今後も機会があれば 是非ご利用戴ければ幸いです。
今後は全国販売を目指してがんばります。ご 指導下さいませ。
兵庫県多紀郡丹南町大沢竹安の坪438−1
丹波農業 協同組合 営農経済部販売課
部長  佐野
рO795−94−1121
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    ビールとえだまめ  

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エダマメ ビールのお伴、理由は諸説
 ビールにはエダマメがつきもの。  なぜ、つきものなのか――。

【悪酔い防止説】
 たんぱく質や脂質、 ビタミンB群などエダマメに多く含まれる成分が、アルコールの急激な吸収を防い だり、肝臓での分解を促進したりするそうだ。
【口に残るビールの苦みを、エ ダマメの甘味が消すという説】
 山形大学農学部、エダマメも研究している笹 原健夫教授(五八)は、「科学的というわけではない」と笑う。「学生たちと、エダ マメをつまみながら、ワイワイやっているうちに出てきた話で……」
【塩分説】
 京都大学農学部の伏木亨教授(四三)は塩分説だ。実験もした。 ビールには 、血液に必要なナトリウムがわずかしか含まれていない。だから、ビールを飲むとナト リウムが欠乏し、体が塩分を要求する。実験で、何人かの学生にビールだけを二本飲ま せたところ、後で全員が塩辛い物に手を出した、という。

日本酒や洋酒の場合、こ うしたことは起きないそうだ。エダマメはゆでる時や、ゆでた後に塩をふる。「その 塩分が、ビール党に好まれる。エダマメの表皮に塩が見えるぐらいついていると、な おいい」と伏木教授は言う。
 しかし、伏木説だと、ビールのつまみは、塩気が あれば何でもいいことになってしまう。 エダマメの甘さや香り、見た目、歯触り、 舌触りなどは、ビールとの相性に関係がないのだろうか。伏木教授によると、「その 辺は、まだわかっていない」そうだ。
【その他】 
ビールにエダマメが合う わけを、周辺の左党にも聞いてみた。 「さやから豆をはじく感触がいいし、次のビ ールまでの絶妙な間になっている」
 「口にした時のピリッとした塩辛さ、 かんでからの甘さがいい」 「かみ砕いたツブツブが、のどに残るビールの苦みを 洗い流す」 「わがエダマメ論」は、まだまだありそうだ。
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    白山だだちゃまめ  

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 ○女が育てる“憲法”が守る
 庄内平野が広がる山形県鶴岡市で七 月末、恒例のエダマメ直売所がオープンした。
 「季節になったノ」。 売るほうも買うほうも、巡ってきたエダマメの季節を喜ぶように声をかけ合う。  「だだちゃ豆」という。名前の由来はいろいろあるが、この地方の父親の呼称 「だだちゃ」からきているという説が有力視されている。 鶴岡藩主だった酒井 家の十三代当主、忠篤公(一八五三―一九一五)が、贈られたエダマメがうま かったため、「どこのだだちゃが作ったのか」と尋ね、側近が「それは、どこ そこの」と答えた。それで、という説だ。だだちゃは一家の主人とも通じる。
 庄内の農業を見つめてきた日刊紙「荘内日報」論説委員長の松木正利さん (六一)の見方はちょっと違い、「エダマメの中の主人としてつけられた名称で はないか」。

 食べてみた。甘みがあり、香りが口に広がる。なるほど、こう いうのが「主人」の風格かと思ったら、地元の人は、まだ本物ではない、という。 本物は八月中旬前後に出回る、「白山(しらやま)だだちゃ」だそうだ。
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 JR鶴岡駅から南西に五キロほどの田園地帯にある白山地区で、白山だだちゃ を作っている一人、富樫孝一郎さん(七六)宅に伺った。 妻八恵さん(七二) と娘の裕子さん(四三)夫婦、お孫さんたちと暮らす。約五・五ヘクタールの耕 地の大半で米、エダマメはそのうちの六、七アールで作るという。
 だだちゃ豆を作るコツなどを孝一郎さんに質問するのだが、どうも要領を得ない。
すぐ、「どうだっけ」と八恵さんに助けを求める。そうか、ここでは男性陣は米作りを 担い、エダマメなどの畑仕事は、女性たちの役割だったのか。 「なんと言っても大事 なのは、種選びだろうノ」。やわらかい庄内弁で八恵さんが説明してくれた。 まず、 畑で良いさやがついた株を見つける。良いさやとは、豆が二粒入っていて、真ん中が くびれ、一本溝が通っているもの。一粒も三粒もだめだそうだ。

 十二月ごろから 三月ごろまでの間に、乾燥させた豆の中から一粒ずつ、良い種を選び出す。良い種の ポイントは豊満ではなく、くぼみやしわがあることだ。 八恵さんによると、これら が良い種になる理由はわからない。わからないが、こうしないと、「返(け)る」 といって、まずい味に戻ってしまうと信じられている。 八恵さんは嫁いできて義母 に教えられ、義母はその姑(しゅうとめ)から伝授されたという。十年前から 、八恵さんは裕子さんと一緒に種を選んでいる。

 山形大学の笹原教授は、 だだちゃ豆の特徴を(1)開花後にうまさのもとである特定のアミノ酸が増え、 糖分が集積される(2)連作が可能、の二点を挙げる。双方に弱いウイルスが関係 しているとみられるが、笹原教授は「いずれにしても、長年にわたって種子を選抜 してきた農民の英知の成果」と評価する。 「農民」は「農家の女性たち」では?  名称も、お母さんたちを呼ぶ「ががちゃ」がついた「ががちゃ豆」かも。ふと、 思ってしまう。
            ■      ■
 残念ながら、 首都圏ではだだちゃ豆と、あまり出合えない。地元で消費されるのと、東京市場へ の出荷量が少ないからだ。各農家が独自の販売ルートを持っていたりする。
富樫家でも、首都圏の数百人の会員に毎年送る。 個人商店的な印象のだだちゃ豆 と対象的なのが、群馬県沼田市の「天狗(てんぐ)印枝豆」だろう。株式会社と いった趣だ。 三十五年前に設立された、農協とは 別の任意団体「沼田利根蔬菜(そさい)出荷組合」があり、生産から出荷まで、 統一された規格で、首都圏の市場に出している。組合員約五百人。

 昨年は六月 からの五カ月間に、東京中央卸売市場に約千三百トン出荷した。これは市場入荷量 のほぼ二〇%になる。 「品質管理が徹底しているから、天狗印は市場でふたを開 けなくても大丈夫」と言われるほど、東京の市場関係者の信頼は厚い。値段も他の 産地に比べ、二倍近いという。

 「憲法」があった。 毎年、組合員に示される 「出荷に関する管理技術指導要項」のこと。いかめしいが、「これは、天狗印を守る ための憲法」(組合主幹の大竹金雄さん)といい、違反者には「忠告書」を突きつ ける。 「憲法」は生産、収穫、出荷の各段階で、減農薬や早朝取り、手もぎ、予 冷の実践など細かい。

 特に重視しているのが鮮度の保持だ。時間の経過はもち ろん、温度の上昇が劣化を招き、二五度で二日間おくと、糖分が半減するというデー タもある。このため、予冷庫や保冷材を使った低温出荷を徹底させ、東京市場に着い た時点での目標温度を一八・五度に設定している。 担当者が東京の市場に出向き、 検温もする。予冷などで手を抜けば、一八・五度は保てない。生産者にすぐ「指導」 や「忠告」が飛ぶ。 組合の代表で、運営を担当する塩野商店の塩野力夫社長(五五 )は「これぐらい厳しくして、はじめて信頼が守られる」と言い切る。
            ■      ■
 女性陣が育てるだだちゃ豆と、「憲法」に守られる天狗印枝豆。 食べくらべてみた。
 だだちゃ豆は、さやにごそごそした毛があり、茶豆だけに色も鮮 やかではない。青豆の天狗印は色も形も見栄えがいいし、粒も大きい。 味は、いずれもお いしい。だが、飲みつけないビールを口にしたためか、違いはどうにもわからなかった。
 ●未熟な大豆を枝ごと取って食用にすることからエダマメに。平安時代ごろから、この食 べ方があったらしい。豆名月など、古くから行事に使われてきた。
 ●全国で年間八万 四千二百トンの収穫量がある(一九九四年)。県別だと千葉、新潟、群馬、埼玉県の順。東 京市場への出荷量は群馬、千葉、埼玉県の順になっている。輸入は台湾、中国、タイ、米国 などから。
 ●大豆には茶、青、黄、黒豆などがあり、黒豆のエダマメでは京都・丹 波の「紫ずきん」がある。
 ●さやごとみそ汁にしたり、ご飯に炊き込んだり、つぶ してモチをくるんだりする食べ方もある。

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