貿易自由化の影響

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 1994年11月国会でWTO(世界貿易機関)協定が批 准されました。同時にこれを受けた新食糧法が制定されました。 (主要食糧の受給及び価格の安定に関する法律:1995.11施行)

★ WTOとは
 WTOとはガット(関税と貿易に関する一般協定) のウルグアイラウンドの合意を受けて設立が決まり、1995 年1月に発足した国際機関です。
それまでのガットとは異なり、一般物品貿易物(農産物、サービス貿易、 貿易関連投資、知的所有権)をはじめ、貿易に関わるあらゆる項目を対 象にした機関です。
 一般理事会の下に大きく@紛争解決機関A貿易政策検討機関 をおいています。

 WTOの特徴的なところは、一括承認方式で、個々の項目に ついて留保を認めていないため、加盟国は物品貿易、サービス 貿易の自由化、知的所有権保護の緩和、資本取引・投資規制の 緩和等を一括して受け入れなくてはいけません。
 その結果、各国はWTOの基準にあわせて国内法制度の改正 を余儀なくされ、世界の市場制度の一元化がされる仕組みです。

★ 新食糧法とは
 新食糧法は上記WTOの受け入れに伴 い、輸入自由化時代に対処すべく制定されたものです。
 従前の食糧管理法で決められていた、政府による米の全量管 理は廃止、部分管理に変わりました。
 政府の役割は毎年策定する基本計画により@生産者団体と一 緒に生産調整実施A生産調整参加者からの買い入れB備蓄C輸入 米の運用に限定されました。
 流通の主流は政府が計画数量を設定し 生産者→集荷業者→ 卸→小売り の計画流通米(政府米+自主米)ですが、あらか じめ届け出れば計画外流通米も認められました。
 結果、現在では30%以上が計画外で流通しているといわれ ています。

 以上の国際的な協定の流れにより、食料、農産物は原則的に は輸出入の自由化がされ、国境調整措置は関税化を残すのみに なっています。この関税も次第に引き下げの方向で決まってい ます。
 米については2000年まではミニマムアクセスが認められ、最終年80万トンになるまで、毎年輸入量を増やすことで関税化をしなくていいという道を選択しました(当時細川首相)。今は当初の予定を変更して関税化になっていますが、輸入の量も年々増加しています。
 急増する輸入農残物の検査・検疫の体制は施設人員とも増加はしているものの、絶対量の増大には追いついていません。
 「厚生省の職員が直接検査するのは、検査総数の5%、輸入業者が民間機関に委託して検査検疫するのが8%、残り86%が、書類審査だけでパスしています。」(私たちの食生活と21世紀「食糧政策研究会97.5」)
 これは輸出国で世紀の検査を通過したものは、輸入検査を必要としないSPS(食品衛生検疫)協定によると言うことですが、その安全性などには不安は隠せません。★下図でもわかるように、すでに国内の耕地では食料をまかなえないとの試算もあります。
農業白書の分析を見てみましょう。
● 農産物需給の不安定要因
 @ 世界の穀物需給は、開発途上国の人口増加圧力、地球環境問題、生活水準の上昇に伴う追加的食料需要等により、中長期的には、不安定な局面が現れることも懸念。
 A 表土流失、塩害発生等により世界の総面積の約15%で土壌劣化が発生。そのうち、 不適切な農業活動に起因するものは6割強(世界の農地面積の約4分の1に相当)。

● 世界食料サミット
 @ 飢餓・栄養不良の撲滅と世界の食料安全保障を達成すること等を目的として、96年11月、食料問題に関する初めての首脳レベルの国際会議である「世界食料サミット」がイタリア・ローマで開催。 
 A 採択された「ローマ宣言」及び「行動計画」には、持続可能な国内生産の重要性、農業の多面的機能の重視、食料輸出国の供給責任等最大の食料純輸入国である我が国の主張がかなり反映。この主張は、EU、アジア、アフリカ地域等の国々の支持を得たが、今後とも、理解されるよう努めることが重要。

● 食料品の内外価格差と産業構造
 @ 食料品の内外価格差(小売単価)は、円安の進行等を反映し、やや縮小したものの欧米諸国に比べ2〜3割程度割高。農業生産費に大きなウェイトを占める農業生産資材費、農地価格、ガソリン代、電気料金、高速道路料金等で日米間では大きな価格差が存在。
 A 農業の国内生産額の約4割を占める中間投入がアメリカ並みとなった場合、農産物価格が平均的にみて約2割低下すると考えることもできる。
 B 内外価格差の縮小に向けて、農業生産部門、関連産業等生産から消費に至る各段階において、一層の効率化、合理化への努力をすることが必要。農業資材費低減に向けての活動目標を定めた行動計画を、都道府県、資材の製造、流通団体において策定。

 ★ 世界食料サミットは1996年11月ローマで開催、世界170の国と地域が参加、「食料安全保障ローマ宣言」と「食料サミット行動計画」が採択されました。
【宣言】
 ○十分な食料を得る権利と飢餓を免れる基本的権利に沿って  安全で栄養ある食料にたいするすべての人の権利の確認
 ○食料安全保障の欠如の主因である貧困の一掃
 ○主要食料を含む食料増産への着手
 ○貿易が食料安全保障の達成の重要要素(自由貿易推進)
 ○食料を政治・経済圧力の道具にしない
 ○食料安全保障を脅かす一方的措置の禁止
以上のことから、世界の食料は広く世界中の人々が享受するものであること。各国は食料増産に努力することの必要性を確認されたことと思います。
 東海銀行の「アジア経済の発展と食料消費」では日本の役割を、@アジア諸国に食料増産の技術支援A食料市場の逼迫に備えた国内生産の向上B消費者の食生活の見直しと整理しています。
 すでに今の農地面積では国内の農産物をまかなうことが出来ないという試算があるのに、まだまだ農地は減少しているのです。国際協定でも食糧増産を約束した経過があるのです。それなのに、現状はどうでしょうか。


●自給率の低下
●貿易自由化
●消費者の期待
●農村の現状
●提   案

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