【簿記の必要性】 簿記を学習すると
(1)経済の動きがわかる
決算書は別名「財務諸表」とも呼ばれ、損益計算書(一定の期間でいくら利益があったかを示す書類)や、貸借対照表(一定時点での財政状態を示す書類)のことを指します。 企業はこれらの書類を作成しなければなりませんから、これらを読みこなすことは、企業の状況を把握することとなり、どんな商売をしていくうえでも大変重要な事になります。 つまり簿記の知識が、社会での日常的にある取引をどの様に記録して外部向けに報告するのかを学習するので、必然的に経済の仕組みや動きがわかるようになります。 (2)金銭感覚が身につく 普段の生活の中で、「何にいくら遣っているか」が簿記を通して自然に気になるようになります。そこで、自分は1ヶ月にいくら遣っているのか? 記録まではしなくとも頭の中でイメージすると「浪費しすぎている」「節約している」といった判断ができるようになります。その判断に基づいて財布の紐をきつくしたり、買い物をしたりしようと思います。これがまさに金銭感覚です。 (3) 経営戦略等のシミュレーションができる 例えばある会社が商品を売る時「この商品を何個以上売ったら利益が生じるか」といった計算や「1万個売った時の利益はいくらか」といった時の金額も計算できます。 簿記を学ぶことによって、企業の様々な状況をシミュレーションすることができるようになり、より効果的な経営戦略をたてることができるようになります。 簿記の目的 簿記の目的を、「企業の財産状態(あるいは財政状態)と損益(あるいは経営成績等)を明らかにすることにある」と書いてある本があります。そして財産状態は「貸借対照表」(「たいしゃくたいしょうひょう」と読みます)で、損益は「損益計算書」で表わされるということになります。わかってしまえば何ということもないのですが、いきなりこれではわかりにくい。ただ、ここで「貸借対照表」と「損益計算書」のイメージを作っておけば、かなりあとの学習が楽になると思います。簡単に例をあげて説明していきます。 ひとつの例を考えてみます。あるところにお金持ちがいたとします。そして、一方にお金は持っていないけれども何か商売をしたがっている商人がいるとします。この商人がお金持ちに対して、もし商売の元手を出してもらえたらたくさんの儲けを出してみせますと持ちかけます。もし、お金持ちがその商人の説明を納得すると、お金が出て商売が始まります。そして、お金持ちは商売に直接には関係しません。 商人は、商売を始めるためにまず、建物と車を買いました。そうしたところ、お金持ちが出してくれた資金だけでは少し商売をするためには足りなくなりそうです。そこで、商人は銀行から借金をしました。そして人も雇い入れました。商品も買い入れました。そして、商売を始めました。 1年後、商人はお金持ちを訪ねました。「この1年間、とても商売がうまく行って、1億円も儲けを出すことができました。これをあなたに差し上げます」。さて、お金持ちは納得できるでしょうか。ここが問題です。 お金持ちの関心は、儲けを最大限に増やすことです。だから、当然細かいチェックをしたいと考えます。商品の値段は適当だったのか。もっと高く売れたのではないか。あるいはもっと安く売ればもっと大量に売れて、結果的にもっと儲かったのではないか。そして、商品はもっと安く仕入れられたのではないか。買った建物や車は高すぎたのではないか。もっと安い建物や車なら借金をせずに済んで、金利を払うこともなかったのではないか。雇った人の給料が高すぎるのではないか。いろいろな観点から分析をしたいと考えるはずです。ですから、商人はお金持ちが理解し、納得できるような資料を整えて、お金持ちに見せる必要があります。この資料が貸借対照表であり、損益計算書です。 上の例で考えると、購入した建物や車は1年でなくなるものではありません。建物であれば何十年も使うことになりますし、車も3年や5年は使います。だから、建物や車は単純な費用と考えるよりも財産と考える方が正しいことになります。一方で商品はどうでしょうか。仕入れた商品は、すぐに売れてしまえばただの費用となりますが、1年経った最後の日にすべて売り切れているとは限りません。だから、残ったものは財産として翌年に残して、また売る必要が出てきます。商品は、費用にも財産にもなります。そして、人を雇った給与はその月ごとに出て行くだけです。だからこれは費用になります。 貸借対照表は、ひと言で言うと「財産目録」です。ただ、単に財産とその金額を並べているだけではなく、その財産を買ったお金がどこから出てきたかも併せて表示します。例えば、上の例ではお金持ちが出してくれたお金と借金によって、建物や車、商品といった財産を買い入れました。言い換えれば会計用語では、財産は「資産」、借金は「負債」、お金持ちの出してくれたお金は「資本」と言います。お金持ちや銀行は、財産目録の中身を見ることで、商人がお金を効率よく使っているかどうか判断します。 損益計算書は、ひと言で言うと「成績表」です。商品を売って得られる売上から商品の仕入れ代や人件費などの費用を差し引いて、どれだけ利益を残せたのか。お金持ちは、売上や費用、そして結果としての利益の適正さを成績表から判断します。売上には「収益」という言葉が良く使われます。 簿記は、毎日の取引をもれなく正確に記録し、「財産目録」と「成績表」を作るための技術です。そして、複式簿記は、「財産目録」と「成績表」のどこかに疑問が生じたときに、必ず跡をたどってひとつひとつの取引までさかのぼることができる記録の技術だということができます。すべての勘定科目は取引の結果として他の勘定科目に結びついています。その結びつきを明らかにできるのが複式簿記の仕組みです。
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◆何年やってもすぐ忘れる、そんな私自身のための簿記備忘録です。
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