仕事の原理・仕事率(2)

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動滑車の例(問題集p65 問題130を用いて)

問題130(改)
図のように、定滑車と動滑車を組みあわせた装置を用いて、質量 30kgの物体をゆっくりと 1.0mの高さまで引き上げた。滑車やひもの質量は無視できるものとし、重力加速度の大きさを 9.8m/sとして以下の問いに答えよ。
(1) 人がひもを引いた長さはいくらか。
(2) ひもを引く力がした仕事はいくらか。






定滑車と動滑車
はじめに、上の問題の図と、下の「引き上げる前の図」とを見比べて、天井に着いている左側の滑車のように動かない滑車を「定滑車」、物体と同様に上に上がっていく右側の滑車のように動く滑車を「動滑車」といいます。

 引き上げる前の図


(1) ひもを引いた長さ
上の「引き上げる前の図」から、動滑車が 1.0m上に上がるということは、図に示した赤い部分のひもの長さを、左の人は引く必要があるわけです。
したがって、人が引いたひもの長さは、1.0mの2倍で
2.0m となります。

(2) ひもを引く力がした仕事
動滑車の部分に着目すると、重さ〔N〕の物体を、上方の2本のひもで支えているので、支えている2本のひもの張力は、それぞれ

  

ずつになります。



そのうちの1本を引き、物体を引き上げる力の大きさは、

 

となります。

以上のことから、ひもを引く力がした仕事は、





参考1
 動滑車を使わずに、質量 30kgの物体を 1.0mの高さまでゆっくり引き上げる仕事は、物体が受ける重力の大きさと同じ大きさの力で 1.0m引き上げるので、

  =30×9.8×1.0= 294 = 2.9×10

 です。

 動滑車を用いても用いなくても、仕事の量は変わらない、
「仕事の原理」が成立していることがわかります。



参考2
図のように、動滑車をたくさん使う場合について考えます。

 

例1
荷物を6本のひもで支えている(引き上げる)ので、ひもを引く力は6分の1になります。その代わり、ひもを引く距離は、荷物を引き上げる距離の6倍になります。


 
例2
ひもを引く力は、2分の1の2分の1の……となります。
図の例だと、ひもを引く力は8分の1になります。その代わり、ひもを引く距離は、荷物を引き上げる距離の8倍になります。


  
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