最大摩擦力(教科書p75) 前のページのように、引く力の大きさに応じて静止摩擦力が大きくなっていったら、いつまでたっても物体は動きません。 でも、実際は、引く力を大きくしていくと、いつか、あるところで物体は動き始めます。 静止摩擦力には「これ以上大きくならない」という上限があり、これを、「最大摩擦力」といいます。引く力がこれより大きくなると、物体は動き始めることになります。 「これが最大、最大摩擦力」の大きさを、ここではと表すことにします。 静止摩擦係数 最大摩擦力の大きさは、何によって決まるでしょう。 物体を引いたときに、動き出しやすいか動き出しにくいかは、何が関係するでしょう。
上のの「物体の底面と床面との接触の強さ」は、物体と床が互いに押し合っている力なので、垂直抗力の大きさと考えることができます。 (注意:「物体の底面と床面との接触の強さ」は、「物体にはたらく重力の大きさ」ではなく、「垂直抗力の大きさ」です。) 実験によると、最大摩擦力の大きさは垂直抗力の大きさに比例し、比例定数を(ミュー)とすると、
となります。 比例定数を、「静止摩擦係数」といいます。 上の式から、左辺の と右辺のは両者とも力で、同じ単位となるので、静止摩擦係数は、単位のない係数です。 静止摩擦係数は、面の種類や状態で決まる定数で、上の、の「面の種類や状態」による最大摩擦力の大きさの違いを表すことができます。 (例)静止摩擦係数のめやす(教科書p77表1、他より)
表の数値から、氷の上や、テフロン加工のフライパンが、すべりやすいことがわかります。 また、例えば、鋼鉄と鋼鉄は鉄道の車輪とレールを、コンクリートとゴムは道路とタイヤをイメージすると、静止摩擦係数の理解がしやすいでしょう。 なお、静止摩擦係数は、上の例にはありませんが、1より大きい値となることもあります。 |
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