糸で連結された物体の運動の場合(p74)
糸で連結された2物体の運動についても、「2つの物体が力を及ぼし合っている場合の運動」ですので、前のページと同じ手順で扱います。
例として、問題集p44問題87で考えます。
問題87 なめらかな水平面上に、質量 6.0kgの物体Aと質量 4.0kgの物体Bがあり、糸で結ばれている。
Aを右向きに50Nの力で引く場合、A,Bの加速度の大きさと糸の張力の大きさを求めよ。

物体ごとに、その物体が受けている力を描く

求める加速度の大きさを 〔m/s2〕、糸の張力の大きさを 〔N〕とします。
・なお、軽い糸の場合、張力はどこでも同じ大きさになります。(このページの下の方に解説があります)
・重力と垂直抗力はつり合っているので省略しました。
物体ごとに運動方程式 をたてる
図の右向きを正の向きとします。
物体Aについて 6.0 = 50− … 式
物体Bについて 4.0 = … 式
運動方程式を連立させて、問題を解く
式+ 式より
10.0× = 50
= 5.0
= 5.0を 式に代入
4.0×5.0 =
= 20
よって
A,Bの加速度の大きさ 5.0 m/s2
糸の張力の大きさ 20 N
軽い糸の場合、糸の張力の大きさはどこでも等しくなります
図1 物体A,Bが、糸から受ける力

図1の状況で、物体Aが糸から受ける張力の大きさを A、物体Bが糸から受ける張力の大きさを Bとおきます。全体が、加速度の大きさ で図の右向きに運動しているとします。
図2 糸が、物体A,Bから受ける力

作用・反作用の法則から、図2のように、糸は、大きさ Aの力を物体Aから、大きさ Bの力を物体Bから受けます。
図2の右向きを正の向きとして、糸の運動方程式 を書きます。
軽い糸の場合、質量 =0と考えます。(「軽い」という表現は物理では「質量が無視できる」という意味です)
より
0× = A− B
よって、 A= B となり、「軽い糸の場合、糸の張力の大きさはどこでも等しい」ことになるのです。
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