C40.音のパラボラ

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パラボラ実験
 図1 廊下で実験

分野
 音の反射、音の伝播など


内容
 大きなパラボラで、音の通信実験ができます。

 図1は、直径1mあまりの2台のパラボラを、約35m離して向かい合わせに置いたものです。遠くに見えるパラボラの焦点にトランジスタラジオを置き、ごく小さな音を鳴らします。2台のパラボラの途中では、音はほとんど聞こえないのですが、こちら側のパラボラの焦点付近に耳を近づけると、ラジオの音が聞こえます。
 廊下は四方が壁に囲まれているからよく聞こえると思う方もおいでかもしれませんが、体育館でも同様の実験をして、よく聞こえました。


パラボラNo.2
 図2 パラボラ(2台目)

 図2は、図1で遠くに置いた方のパラボラです。焦点付近に音源やマイクを置けるように台を取り付けられるようにしました。
 左の写真では、ラジオを置いて、輪ゴムで止めています。
2台のパラボラ
 図3 2台のパラボラ

 図3,図4は、2台のパラボラです。

 パラボラ面が8分割(8角形)のものが最初に作ったもので、最大直径110cm,焦点距離は約40cmです。パラボラの真ん中にある棒の先が、焦点になります。パラボラ面は1mm厚の塩ビ板です。

 パラボラ面が12分割(12角形)のものが、2番目に作ったものです。最大直径100cm,焦点距離は約25cmです。パラボラに十時に張った丸ゴムひもの交点の数センチ外側が焦点です。パラボラ面の塩ビ板は2mm厚にしました。


 
 図5
 収納と自動車での運搬を考え、2台ともパラボラ面を4分割(+台)できるようにしました。ボルトと蝶ネジで簡単に分解、組み立てできます。




制作費
 木材、塩ビ板、ネジ類で、1台当たり1万円〜1万5千円程度


余談
 当初、学校にある大太鼓と巨大パラボラを使って、焦点付近に置いたろうそくの炎が消えるか実験しようと思い、まず1台作ってみました。光ではなく、音のパラボラなので、作成の手間やコストを考え、パラボラ面は8分割(8角形)でいいやと思い、作ってみました。パラボラの中心の高さは、学校にある大太鼓の中心と同じ高さの89cmになっています。焦点の位置は、ろうそくが外側から見やすいように、パラボラの外縁よりかなり外に出るようにしました。
 ところが、できたパラボラを大太鼓から1.5〜2m程度離して実験してみると、ろうそくの炎は消えるどころか、ほとんど反応しません。
 そこで、2台目のパラボラを作り、大太鼓ではなく、陸上競技のスターターピストルを使って、ろうそくの炎を消す実験をしようと思いました。2台目は、音源となるピストルの音をより多く拾うように、焦点の位置をパラボラの外縁付近の位置になるようにしました。他に、1台目より性能アップのために、パラボラ面を12分割(12角形)とし、塩ビ板の厚さも、1台目の1mmから2台目は2mmとしました。
 1台目を作ってみたら、かなりの重さになりました。2台目はパラボラのリブの数も増え、焦点距離を短くしたのでパラボラの中心から外縁までの高さも高くなり、塩ビ板も2倍の厚さにするので、相当の重量の増加が予想されました。そこで、リブや台の肉抜きをおこない、また、可能な限り各部材の太さを細くしたり、タッピングビスの数を減らしたりしました。また、パラボラの直径を1mと、1台目より少し小さくしまそた。その結果は、…やはり、かなり重くなりましたが、支障なく持ち運べる程度になりました。 
 さて、肝心のろうそく消しの実験は、残念ながら失敗です。2つのパラボラを、3〜5m離し、スターターピストルを使って実験しましたが、ろうそくの炎は瞬間、ゆらりと揺らめきますが、結局消えませんでした。
 あるイベントまで2週間とせまり、とりあえずこのパラボラでのろうそく消しを諦め、次のページにある中華鍋のパラボラでのろうそく消しに切り替えました。
 2台の巨大パラボラを使って、小さな音のパラボラ通信はとても良くできました。そこで、このページで紹介しました。
 ところで、巨大パラボラでのろうそく消しを諦めたわけではありません、次の手は、始めに作った8分割(8角形)のパラボラのリブの間にもう1枚ずつリブを加え、16分割に作り直して同様の実験をしてみようと思っています。

 うまくいくでしょうか。やってみなくてはわからない。うまくいかなかったら、また次の手を考えます。


2台のパラボラ
 図4 2台のパラボラ
分割可能
 図5 パラボラ面は4分割可能

宮田 佳則 (直江津高校)

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