E26.尿素の結晶ツリー

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尿素とPVA洗濯のり
↑図1 尿素とPVA洗濯のり

分野

 化学 結晶の析出 溶解熱(吸熱)



実験内容
 「E25.マジック クリスマスツリー」の自作実験です。

1 用意するもの
・尿素 ホームセンターの園芸コーナーで。1kg 300〜400円程度(図1)
・洗濯のり PVA(ポリビニルアルコール)入りのもの ホームセンターで200円程度 使用するのは1〜2滴
・中性洗剤 1〜2滴
・木工用ボンド 1滴(なくてもよい)
・木の幹になるものとして、書道用吸い取り紙(呉竹) 5枚入り350円程度(図2)
 他に、水が必要。はかり、プラスチックカップ、かき混ぜるスプーン等があると便利。

2 木の幹の作製
(1) 結晶を作るもとの幹や枝となるものとして、インターネットで検索すると、スポンジや珈琲フィルターを利用したものが見つかりましたが、他になにか使えるものがないか、ホームセンターで探していたら、厚手の紙の、書道用吸い取り紙なるものがあったので、使ってみました。
(2) 木の形を鉛筆で下書きして切り取り、組み合わせて紙の木を作ります。写真のものは、高さ16cmくらいです。(図3,図4)
 書道用吸い取り紙は、乾いているとかなりしっかりしているのですが、水を吸うと柔らかくなるので、木の根元などは、紙片をホチキスでとめて補強しました。(図5)
 木の上部も補強すると、なお良いと思います。
 紙の木を、皿の上などに置き、皿を、丸1日くらい、動かさなくてもよい所に置きます。

3 尿素の水溶液の作製
(1) プラスチックカップなどに入れた、温めの水(お湯)100g(100cc)に、尿素100gを入れ、よく混ぜて、全部溶かします。
 尿素は水に溶けるときに吸熱するので、冷たくなります。(瞬間冷却パックの中身は尿素と水です) プラスチックコップを湯せんなどで温めながら溶かします。火傷に注意してください。
(2) 尿素が全部溶けたら、洗濯のり、中性洗剤、木工用ボンドをそれぞれ1〜2滴入れて、よく混ぜます。
 中性洗剤は、それに含まれる界面活性剤が、溶液を浸透しやすくするはたらきをしているようです。
 洗濯のりや木工用ボンドは、それに含まれる合成樹脂が、結晶ができたときに崩れにくくするはたらきをしているようです。

4 尿素の結晶ツリー
(1) 尿素の水溶液を木の上部から、紙にしみこませるようにかけます。飛び散らないように、スプーンや割り箸を伝わせるようにしてかけます。
(2) 1〜2時間ほどで、枝の先端などから、結晶ができはじめます。(図6)
(3) 結晶はどんどん成長し、およそ1日経つと、見事に生い茂ります。(図7,図8)
(4) 水分がすべて蒸発すると、振動を与えないように少しくらい動かしても大丈夫です。(慎重に!)

※今回は、色をつけず、白い真冬の木にしました。木の枝を緑色の水性マジックで塗っておくと、緑色の葉が茂ると思います。(下の、「尿素の結晶桜」参照)


  

書道用吸い取り紙
↑図2 書道用吸い取り紙

吸い取り紙の木
図3 吸い取り紙の木
 
吸い取り紙の木
↑図4 吸い取り紙の木

木の根元の補強
↑図5 木の根元の補強
 
結晶のできはじめ
↑図6 結晶のできはじめ
 
尿素の結晶ツリー
↑図7 尿素の結晶ツリー

葉が茂ったような結晶
↑図8 葉が茂ったような結晶
 
 
  
 
吸い取り紙の桜の木
↑図9 吸い取り紙の桜の木
 
「尿素の結晶桜」

(1) 吸い取り紙の木を、桜の木のような形に切り取り、枝の部分を水性マジックでピンク色に塗ります。幹の部分は、油性マジックで茶色に塗ります。2枚を組み合わせて桜の木を作ります。写真のものは、高さ12cm程です。(図9,図10)
 木の根元を補強しましたが、この桜の木は上部が大きいので、上部も補強して、しっかりした木にする方が良いようです。
(2) 尿素の水溶液を作り、木の上から、紙にしみこませるようにかけます。
(3) 尿素の結晶が成長するとき、水性マジックのピンク色が溶け出し、結晶が色づきます。できあがると、満開の桜の木ができあがります。(図11,図12)
 
吸い取り紙の桜の木
↑図10 吸い取り紙の桜の木
 
尿素の結晶桜
↑図11 尿素の結晶桜
 
尿素の結晶桜
↑図12 尿素の結晶桜


宮田 佳則 (加茂高校)

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