E23.エッキー

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液状化のしくみ
 ↑液状化のしくみ

分野

 地学。 地盤液状化現象。



内容
 エッキーは地盤液状化現象による浮き上がりを再現する実験装置で、とても良く知られています。インターネットで検索すると、多くのページが出てきます。
 エッキーは、防災科学技術研究所の納口泰明さんの発明です。


地盤液状化現象とは
 私がまだ幼い頃、1964年、新潟地震がありました。このとき、川沿いのアパートが大きく傾いたり、越後線の線路がグニャグニャになったり、日本で最初に「液状化現象」が注目されたそうです。
 砂地で地盤が軟らかく、地下に水分の多い場所では、大きな地震が起きたときに砂粒同士のつながりが壊され、そこに地下水が入り込んで、とても濃い泥水のような状態になります。そうすると、軽い土管やマンホールなどは浮き上がり、重い家や電柱などは沈むことになります。また、地下水などが吹き出したりします。これを、地盤の液状化といいます。






(1)(2)エッキーのキット
 中村理科から、エッキーの材料がセットになったものが販売されています。ボトル4本分の材料がそろって、2,800円程度です。砂は非常に細かいものです。

 中村理科  http://www.12rikachan.com/

エッキーのキット
(1)エッキーのキット
エッキーの砂
(2)エッキーの砂
混ぜたところ
(3)混ぜたところ
(3)(4)エッキー
・ペットボトルに砂とマップピン3本を入れます。
・ペットボトルにふたをして、逆さにするなどして砂とピンを混ぜ、机の上に立てます。
・ペットボトルをかるくたたいたり机を揺らしたりして地震を起こし、ピンが浮かび上がらないことを確かめます。(激しく揺すると砂の上に現れることもあります)
・ペットボトルに水を口まで入れ、ふたをします。
・一度ペットボトルを逆さにしてもとに戻し、砂の中の空気がでてきた場合はさらに水を足します。
・ペットボトルの中を完全に水で満たして、ふたをすれば完成。
ピンは砂の中
(4)ピンは砂の中
液状化が起きピンが浮いた
(5)液状化が起きピンが浮いた
(5)実験1
・ペットボトルを逆さにし、中の砂が下にたまるのを待ちます。
・素速くボトルをひっくり返し、砂がボトルの底に沈殿するまでボトルに振動を与えないようにして静かに待ちます。
・砂が沈んだら、ピンも砂の中にある(砂に浮いていない)ことを確認します。
・ここで、ペットボトルの底に近いところを指先でコツンとたたくと砂の液状化が起こり、ピンが砂の表面に浮かび上がってきます。
・ボトルをたたいてからピンが浮かび上がってくるまでには少し時間差があります。このことから、振動が終わっても液状化現象がしばらく続いていることがわかります。
液状化の前
(6)液状化の前
(6)(7)実験2
・液状化が起きる前の、砂の表面の高さに、目印として輪ゴムをはめます。
・液状化を起こすためにたたくのではなく、ごく弱くボトルをたたきます。
・ピンが1個くらい浮く場合がありますが、かまわず、ごく弱くたたき続けます。(20〜30回くらい)
・砂の表面が、初めの位置よりかなり(2mmくらい)下がることが確認できます。
・こうなったあとで、「実験1」のように強くたたいても、液状化が起こりにくくなっていることが確認できます。
・弱くたたくことによって、液状化することなく砂粒の間の隙間が埋まっていきます。隙間が埋まったあとでは、隙間があれば液状化するような振動を与えても、液状化は起きにくくなっています。この実験装置は、小さな振動を与えない状態で、おおむね震度3以上の振動でピンが浮くそうです。
砂が締まった
(7)砂が締まった
左が自作エッキー
(8)左が自作エッキー
(8)(9)エッキーの自作
・キットを買わなくても、エッキーは簡単に作ることができます。
・空いたペットボトルとマップピンを用意します。砂は細かめの砂を庭から取ってきました。取っても良いところから、なるべくきれいで、粒の小さめの砂を取ってくると良いでしょう。(粒の大きな砂だとどうなるのか、確認していませんが…)
・取ってきた砂でエッキーを作ると、はじめのうちはとてもとても水が濁ります。振っては水換えを何度も行い、ある程度水が濁らなくなるまで繰り返します。
・できあがると、キットのエッキーとほぼ同じものができあがります。
ピンが浮いたところ
(9)ピンが浮いたところ


宮田 佳則 (直江津高校)

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