葦のストロー

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 2018年7月に大手のコーヒー店とハンバーガー店が、相次いでプラスチックストローの使用をやめると発表がありました。プラスチックによる海洋汚染の象徴的なものとして、ストローが話題になりました。
プラストローの替わりは、紙ストローか、トウモロコシから作ったストローか、金属製かとか、使い心地はどうかとか、話題になっています。

 そこで、思ったのです。そもそも、「ストローって、何?」。
 ストローと言うのだから、昔は(麦)わらですね。ストローハットって麦わら帽子ですから。ネットを見ると、麦のストローを作っているところ、売っているところ、うちのストローは麦わらを使っていますという喫茶店などが見つかりました。アマゾンでも扱っていました。(7〜8本で250円程)

 そして、ストローの起源を、ネットの情報で見つけました。正確な情報かどうかまでは確認していませんが、それによると、紀元前4000年ころからのメソポタミア文明で、葦のストローを使ってビールを飲んでいたことが、当時の粘土板に刻まれていて、その粘土板は大英博物館に所蔵されているのだそうです。
 古代のビールというのは麦芽とパンを自然発酵させたものなのだそうですが、浮遊物や沈殿物を飲まないように、ストローで真ん中の澄んだところを飲んでいたのだそうです。

 そこで、私も葦のストローを作ってみました。
 
葦のストロー
 ↑ 葦のストロー(長さは18cm〜25cm) 

 


 

葦
 図1 葦 
 

長岡高校の裏手から、葦を3本採ってきました。高さは2.5m程です。ススキではありません。
葦の茎
 図2 葦の茎(地面に近い部分)
 

図2
は、葦の茎の、地面に一番近い部分です。

写真下部に置いてあるのは、30cmの定規です。葦の茎の節と節の間隔が、ストローの最大の長さになります。
茎を切断
 図3 節の隣で茎を切断
 

なるべく長いストローになるように、節のすぐ隣で茎を切断します。

茎は結構堅いので、切り出し小刀を使って、ちょっと強めに力を入れながら、コロコロさせながら切りました。カッターは、刃を多めに出して力を入れると、途中から刃が折れて飛ぶ危険がありますので、使用しない方がいいと思います。

 茎の中のワタ
 図4 茎の中のワタ
 

上の図3をよく見るとわかりますが、穴の中には少量ですが ワタ が入っています。
 
図4は、茎を割ってみたところです。ストローにするには、このワタを(茎を割らずに)取る必要があります。

 ストロー洗いブラシ
 図5 ストロー洗いブラシ
 
 
茎の中のワタを取る道具として、100円ショップでストロー洗いブラシを見つけました。

長い方のブラシは、長さが30cmです。
 ブラシで取ったワタ
 図6 ブラシで取ったワタ
 
 
図6のように、ブラシを使ってワタを取ることができます。

 葦のストロー
 図7 葦のストロー
 
 
採ってきた葦の茎は、上に行くと節と節の間隔が短くなるので、節と節の間隔が比較的長い下の方だけストローにしました。

ストローの長さは節と節の長さによるので、不均一の長さとなります。

図7の、一番長いものが25cm、一番短いものが18cm位でした。

なお、ストローの両端は、目の細かい紙やすりで滑らかにしました。
 煮沸消毒
 図8 煮沸消毒しました
 
 
できたストローは、ストロー洗いブラシも使って、中性洗剤で内と外をよく洗いました。

そして、煮沸消毒(5分)を行い、よく乾燥させました。

生物の教員は、「枯草菌(納豆菌)が、残っているかもしれませんよ。でも、基本的に無害ですから。」と言っていました。

使用してみて、私は特に何ともありませんが、責任は持てません。

 葦のストロー
 図9 葦のストロー完成
 
 
100円ショップで買った円筒形のプラスチックケース2個と、クリアファイルを切り開いたものを丸めて使って、図9のようなストローを入れるケースを作りました。

葦のストローのできあがりです。

   
 
 

 
 

日本では、主に川沿いに生えている葦より、ススキの方をよく目にします。

ススキは、主に東アジア〜東南アジアに分布し、メソポタミアの地には生えていなかったので、メソポタミア文明では葦のストローが作られたのだと思います。

葦とススキはよく似ていますが、その違いを少しだけ比べてみました。
 
葦の穂
 図10 葦の穂
 
ススキの穂
 図11 ススキの穂
 
 
穂が違います。

左の図10が葦の穂で、右の図11がススキの穂です。

葦の葉
 図12 葦の葉
 
ススキの葉
 図13 ススキの葉
 
 
葉が違います。

右の図13のススキの葉には、中央に白い線が入っています。左の図12が葦の葉で、白い線はありません。


ススキでもストローができるか試してみましたが、私の採ってきたススキは、高さが2m程度だったのですが、茎の節の間隔が短く、ストローには使えない程の長さでした。さらに、茎の中のワタがぎっしり入っていて、ストロー洗いブラシで取ることがとても無理でした。
 
 

 
 



宮田 佳則 (長岡高校)


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