教室で熱気球を上げよう

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はじめに
 
出展
1988年、「いきいき物理わくわく実験」愛知・岐阜・三重物理サークル著 新生出版 が発刊され、当時から、大いに使わせていただきました。(2002年より改訂版として日本評論社から「いきいき物理わくわく実験1」として発刊)

多くの演示ネタが記されており、その中の「熱気球 小さくても上がります」も、度々行わせていただいており、今回、自分のやり方を掲載させていただきました。

火災に注意・やけどに注意
屋内専用です。自宅など、一般住居では不可です。
教室の中で火が手元からはなれて宙に浮きますので、火災ややけどに細心の注意が必要です。
・火が、気球本体のポリ袋に移らないように。
・糸が切れて、コントロールできなくならないように。
・火がついたガーゼが、自分や生徒に落下しないように。


 ↑教室で浮かぶ熱気球

1 準備するもの
 
(1) ポリ袋(薄手の、厚さ 0.015mm以下のもの。作例はコメリホームセンターで購入した45L、厚さ 0.011mm)
(2) 糸
(3) お弁当に使うホイルカップ
(4) エナメル線(作例は 0.4mm径)
(5) ガーゼ(1回の飛行に1枚、写真は4枚写っています)
(6) 無水エタノール



その他に、 バケツ、着火用ライター、はさみ、火ばさみ、気球が飛んでいかないように糸に取り付けるおもり(右の写真では板)が必要です。
写真にはありませんが、セロハンテープも必要です。

 

2 気球の作成
 
(1) ポリ袋のかたちを整えたり、火種を置くホイルカップを取り付けるため、ポリ袋の口の内側に、エナメル線をぐるりと一周、セロハンテープで貼り付けます。
・セロハンテープは、3〜5cm位の長さを貼って、同じくらい隙間を空けて、また貼って、と、飛び飛びに貼ります。後で、ホイルカップや糸を、このエナメル線に取り付けるためです。
・エナメル線は、ポリ袋の口の縁から1cm〜2cmのところに取り付けます。



(2) ポリ袋の口のエナメル線に、火種のガーゼを載せるホイルカップを取り付けるエナメル線を4本取り付けます。
・4本がポリ袋の口に対して十字になるように。
長さは、下の完成写真を参考に、気球が上がったときに、ポリ袋の口の中心の下部に、火種を載せるホイルカップが来るように。ポリ袋の口の半径の 1.3〜1.5倍位の長さです。
・4本のエナメル線が長すぎると、火種がポリ袋から遠くなるので、気球がなかなか上昇しません。一方、短すぎて火種が気球に近くなりすぎると、ポリ袋の気球の上部が熱で収縮し始めて、ポリ袋に火が移る危険があります。要注意です。
・このエナメル線がポリ袋から外れると、火種のガーゼが落下して危険ですので、右写真のようにポリ袋の縁のエナメル線に絡ませて、セロハンテープでしっかり留めます。
 


(3) 火種を載せるホイルカップを加工します。このカップがエナメル線から外れると火種が落下して危険ですので、なるべく丈夫に、作ります。

・まず、このカップを2枚重ねて強度を増します。(写真左)
・次に、カップの側面を、半分の高さのところで上手に内側に折って、エナメル線を取り付ける側面の強度を増します。(写真中央)
・かたちを整えます。(写真右)
・口をすぼめると火力が弱くなり、気球が上昇を始めるまで時間がかかります。口を広げすぎると火力が強くなり、ポリ袋の気球の上部が過熱して収縮し始めて危険です。
 


(4) ホイルカップを、(2)で取り付けたポリ袋から伸びているエナメル線に取り付けます。ホイルカップの側面に、ブスッと刺して、外れないように2ひねりほどして取り付けます。(写真左)
ホイルカップの側面はアルミ箔が4重になっていますが、強くはないので破かないように注意します。
取り付けた後の様子は 写真右のようになります。 
     


(5) ポリ袋の口の縁に、糸を取り付けます。3カ所に取り付けるように、左の写真のように、2カ所をU字になるように糸を取り付け、3カ所目から糸を長く伸ばします。
ポリ袋を持ち上げ、ポリ袋の口が水平になるように、長く伸ばした糸とU字の糸を調整し、ちょうど良い場所でセロハンテープで糸同士をくっつけます。(写真右)
糸を十分な長さ用意して、おもりとなるもの(例では板)に止めます。例の板のように、糸をぐるぐると巻き付けておくと、気球を飛ばした後、気球が浮かぶ高さの調整に使えます
これで気球の完成です。
・火が糸に燃え移ると危険なので、糸と火種が近くならないよう、U字の糸は長めにします。ポリ袋から伸びる3本の糸が、(4)のホイルカップの下の方で一緒になるようにします。
     
 

 


3 熱気球を飛ばそう
 
(1) まずはじめに、バケツに水を用意し、火ばさみもすぐ使うことができるようにしておきます。
火ばさみとバケツは、この実験の終わりに必要になります。



 
(2) 熱気球の上部を生徒に両手で持たせ、ガーゼにエタノールをたっぷり染みこませて、ホイルカップに載せます。(自分1人でするときは、エタノールを染みこませたガーゼを用意をしてから、片手で気球上部を持ってガーゼをセットします)
着火用ライターでガーゼのエタノールに着火します。

しばらくそのまま気球を持っていると、やがて浮力を感じますので、静かに手を放し、気球を浮かばせます。

・初め、気球の高度があまり高くならないように、糸を短く調整しておき、状況が良さそうなら、少し高くなるよう、糸の長さを調整します。(天井に着かないよう注意!)

熱気球がただ浮いているだけなのですが、生徒は、「いつまでも見ていられる」と感動します。

<注意>
・教室の窓を閉め、風が入らないようにします。空調の気流にも注意します。
・自宅など、普通の住宅では絶対に行わないことにします。周りに燃えやすいものがたくさんあるので危険です。
・火を使う実験なので、油断しないこと。
 


(3) しばらくすると、火力が弱くなり、熱気球がゆっくりと下降してきます。
ここでも
気が抜けません。まだ火は着いていますので、そのまま床に着地すると大変です。
右手に火ばさみを持ち、気球が適当な高さに降りてきたら気球上部(ポリ袋)を左手で捕まえて、火ばさみで火の付いたガーゼを取り出して、バケツの水につけて消火します。
ガーゼを取った気球は、そのまま着地しても問題ありません。

熱気球は、あまり畳まず、上手に取っておけば、何回か使うことができます。

ポリ袋が熱で収縮していないか確認が必要です。


(4) 廃棄するときは、エナメル線を取り外して取っておくと、再利用できます。

 




宮田 佳則 (新潟第一高校)

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