C44.バンジーチャイム

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バンジーチャイム
 図1 装置全景

分野
 音

出典
 私は、新潟県の竹内サイエンスレンジャーが、2003年ころから科学イベントの実験ショーなどで使っているのを拝見し、自分でも作製してみました。
 Webでいろいろ見てみると、これにはオリジナル考案者がいて、また、「バンジーチャイム」という命名者が居るようです。しかし、詳しいことは、わかりませんでした。
 自作が面倒くさいという人は、製品の販売もしているようです。
 参考までに、製品が購入できそうなところは、
http://homepage.mac.com/tanodon/bungychime/kaisetu.html
 からたどっていくと、申込みできます。

内容
 音階に合わせた長さの真鍮のパイプを順番に落としていき、メロディーを演奏するものです。
 科学イベントでは子どもに1本(または両手で2本)ずつ持ってもらい、楽しく演奏できます。演奏が終わると、必ず拍手がおきます。授業でも行い、好評でした。
 また、台ごとパイプを挿したまま小脇に抱えるように片手で持って、パイプが床と平行になるように傾けて、番号順にパイプを引き抜くように床に落としていくと、一人で上手く演奏できます。


やり方
 真鍮パイプを番号順に(写真のものは1番から25番まで)堅めの床にタイミング良く落としていきます。パイプは床と平行になるように持って、静かに手を放して落とします。演奏の出来は、まあ、落とす人のリズム感によります。


演奏例 「星に願いを」
 物理教室の床に落としたものです。
 オーディオファイル(約27秒 wmaファイル 176KB)

 オーディオファイル(約27秒 mp3ファイル 213KB)


バンジーチャイム
 図2 台
パイプの長さ
 図3 パイプの長さ


作り方

1 音階とパイプの長さの関係
 パイプや棒をたたいたときの音の振動数 f は、棒の長さをLとすると、Lの2乗に反比例します。(または、L は √f に反比例。)
理科年表などによると、一様な大きな金属塊の中を伝わる縦波や横波、または、金属棒の中を伝わる縦波の速さは、振動数によらず一定(温度や密度など、他の要素により変化するが)であるように書いてあるのですが、金属棒そのものが横に振動する横波の速さは一定ではなく、√f に比例します。
 よって、気柱の共鳴や、弦の振動などでは、振動数を2倍にするには気柱や限の長さを半分(0.5倍)にするとよいのですが、棒の振動のときは、振動数を2倍にするには、棒の長さは(√2)分の1(約0.707倍)にするとよいことになります。

2 真鍮パイプの長さを決める
 音階には純正律音階と平均律音階がありますが、計算しやすいので、ここでは平均律音階の振動数を使いました。
 例えば440Hzの「ラ」を基準にして、上の図3のように振動数を計算しておきます。真鍮パイプでの演奏は、当然「相対音階」になります。上の例の「星に願いを」だと、初めの「ソ」を適当に33.0cmではじめて、初めの3本くらいを作って落としてみて、これくらいのキーでいいか判断をして、残りを切り出しました。もう少し、全体的に短めで、曲のキーを上げても良かったような気もします。

3 真鍮パイプの切断
 真鍮パイプを切るときは、パイプカッターを使いました。これを使うと、静かに、力もいらず、ごみもほとんど出ず、作業もはかどります。
私は2セット作ったのですが、初めはパイプを電動ジグソーで切り、ヤスリで切り口を整えていました。時間もかかり、真鍮の切りくず削りくずもたくさん出て、なんとかならないかと思っていたのですが、根本的にパイプを切断するのだからパイプカッターを使えばいいという単純なことに(遅まきながら)気付き、2セット目を作製するときはホームセンターで真鍮パイプと一緒に小さなパイプカッターを購入し、とても便利に使いました。

4 台の作製
 長さの少しずつ違う真鍮パイプがどんどんできてきますので、わけがわからなくならないように、マジックなどで小さく番号を書いておきます。全部できたら、番号札を貼り付けて、パイプは完成です。
 なお、「星に願いを」の演奏は、1〜25番のパイプでいいのですが、「ドレミファソラシド」をならすために、曲では使わない、はじめの「ド」を「0番」として作っておきました。これは、上に書いた製品として販売しているものの説明文を参考にさせていただきました。
 これらのパイプを立てる台を、適当な木材を買ってきて作りました(図2)。10.5mmのドリルで等間隔に穴を開け、パイプを差し込めるようにしました。この台は、一人で演奏するときにも使います。パイプを挿したまま小脇に抱えるように片手で持って、パイプが床と平行になるように傾けて、番号順にパイプを引き抜くように床に落としていくと、一人で上手く演奏できます。

5 その他
 材質は、真鍮の他に、ステンレスや銅、アルミなどで作り、音色をくらべてみるのもいいかもしれません。真鍮をブラスといいますが、ブラスバンドと言うくらいですから、多分真鍮が一番良い音色なのでしょうか。
 選曲は、できるだけ一定のリズムで、テンポのあまり速くない曲がいいようです。「星に願いを」の他には、「キラキラ星」等も良いと思います。でもベートーベンの第九「歓びの歌」をやる人もいるようですので(この方がオリジナル作成者でしょうか?)いろんな曲にチャレンジするのもおもしろいと思います。



購入先
・真鍮パイプは10mm径のものを買いましたが、材質、太さ、様々なものがありますので適当に。
・パイプカッター 10mm径が切れる小型のもの。1,000〜1,500円程度
・木材も含め、すべてホームセンターから購入。
パイプだけで、7千円程度だったと思います。



宮田 佳則 (直江津高校)

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