弾性力による位置エネルギー(教科書p98)
伸ばされたばねにつながれた物体は、ばねが自然の長さに戻るとき、ある速さとなり、運動エネルギーを持つことになります。したがって、伸ばされたばねにつながれた物体は、仕事をする能力(エネルギー)を持つことになります。縮められたばねにつながれた物体についても同様です。
このような、伸ばされた(縮められた)ばねにつながれた物体が持つエネルギーを、「弾性力による位置エネルギー」といいます。
弾性力による位置エネルギー
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<補足>
「弾性力による位置エネルギー」は、伸ばされた(縮められた)ばねにつながれた物体がエネルギーを持つという考え方です。伸ばされた(縮められた)ばねそのものがエネルギーを持つという考え方もあり、その場合は、ばねの「弾性エネルギー」と使い分ける場合があります。どちらの考え方でもかまいません。
ここで復習
フックの法則(→教科書p53)
ばねの伸びが 〔m〕のとき、ばねの弾性力 〔N〕は、
= 
で表されます。 〔N/m〕は、ばねの特性を表すばね定数です。
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伸ばされたばねにつながれた物体が、ばねが自然の長さに戻ったときにどれだけの運動エネルギーを持つのかを求めます。
自然の長さから 〔m〕伸ばされた、ばね定数 〔N/m〕のばねが自然の長さに戻るまでに、物体にどれだけの仕事をするのかを考えます。
物体についてのエネルギーの原理(運動エネルギー変化=された仕事)から、ばねが自然の長さに戻ったときに物体が持つ運動エネルギーがわかります。
つまりそれが、はじめに物体が持っていた弾性力による位置エネルギーとなります。

上のグラフの青い直線は、ばねの伸び と ばねの弾性力 の関係を表します。
ばねの伸びが のとき、ばねが物体を引く力は = です。
この力で、ばねは、図の まで、わずかな距離 (デルタ :わずかな距離)だけ引くとします。
この間にばねがする仕事は、 × で、図の斜線をつけた の長方形の面積で表されます。
ばねの伸びが となったあと、弾性力  の力で、さらに だけ引くとします。
この間にばねがする仕事は、図の斜線をつけた の長方形の面積で表されます。
以下同様に、ばねが自然の長さに戻るまで、ばねがする仕事を少しずつ分解して考え、 (わずかな距離)をすごく細かくしたとすると、その合計は、下の図の、斜線をつけた三角形の面積で表されることがわかります。


よって、ばねが自然の長さに戻るまでに、物体はばねから

の仕事をされることになります。
したがって、自然の長さから 〔m〕伸ばされた、ばね定数 〔N/m〕のばねにつながれた物体が持つ、弾性力による位置エネルギー(位置エネルギーなので で表します)は、
「弾性力による位置エネルギー」

となります。
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