位置エネルギー(4)

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弾性力による位置エネルギー(教科書p98)

 伸ばされたばねにつながれた物体は、ばねが自然の長さに戻るとき、ある速さとなり、運動エネルギーを持つことになります。したがって、伸ばされたばねにつながれた物体は、仕事をする能力(エネルギー)を持つことになります。縮められたばねにつながれた物体についても同様です。
 このような、伸ばされた(縮められた)ばねにつながれた物体が持つエネルギーを、「
弾性力による位置エネルギー」といいます。

  弾性力による位置エネルギー


<補足>
 「弾性力による位置エネルギー」は、伸ばされた(縮められた)ばねにつながれた物体がエネルギーを持つという考え方です。伸ばされた(縮められた)ばねそのものがエネルギーを持つという考え方もあり、その場合は、ばねの「弾性エネルギー」と使い分ける場合があります。どちらの考え方でもかまいません。

ここで復習
  フックの法則(→教科書p53)
   
   ばねの伸びが〔m〕のとき、ばねの弾性力〔N〕は、

     

   で表されます。〔N/m〕は、ばねの特性を表すばね定数です。  




伸ばされたばねにつながれた物体が、ばねが自然の長さに戻ったときにどれだけの運動エネルギーを持つのかを求めます。

 自然の長さから〔m〕伸ばされた、ばね定数〔N/m〕のばねが自然の長さに戻るまでに、物体にどれだけの仕事をするのかを考えます。
 物体についてのエネルギーの原理(運動エネルギー変化=された仕事)から、ばねが自然の長さに戻ったときに物体が持つ運動エネルギーがわかります。
 つまりそれが、はじめに物体が持っていた弾性力による位置エネルギーとなります。



上のグラフの青い直線は、ばねの伸び と ばねの弾性力 の関係を表します。
 ばねの伸びがのとき、ばねが物体を引く力は です。
 この力で、ばねは、図の まで、わずかな距離(デルタ:わずかな距離)だけ引くとします。
 この間にばねがする仕事は、×で、図の斜線をつけたの長方形の面積で表されます。

ばねの伸びが となったあと、弾性力 の力で、さらにだけ引くとします。
 この間にばねがする仕事は、図の斜線をつけたの長方形の面積で表されます。

以下同様に、ばねが自然の長さに戻るまで、ばねがする仕事を少しずつ分解して考え、(わずかな距離)をすごく細かくしたとすると、その合計は、下の図の、斜線をつけた三角形の面積で表されることがわかります。





 よって、ばねが自然の長さに戻るまでに、物体はばねから

 

 の仕事をされることになります。

 
したがって、自然の長さから〔m〕伸ばされた、ばね定数〔N/m〕のばねにつながれた物体が持つ、弾性力による位置エネルギー(位置エネルギーなのでで表します)は、

弾性力による位置エネルギー
  

となります。



  
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