98: 「スモール」について
「スモール」とは、「軽薄短小」のなかの「小」です。所謂「プチ」ですね。
「重厚長大」の方が、一般的には、褒め言葉になっているようですが、
「ウドの大木」、「山椒は小粒で」は、大きい物より小さい方を褒めています。
さすがに「短小」ですと、寂しい気もしますが・・・。
今建築界では、「軽く・薄く」と同じく、「スモール」も流行り(?)です。
まあ、流行りというより、「心ならずも」、「仕方なく」という意味もあります。
土地の値段が高いですので、必然的に住宅の敷地は狭くなりますし、
敷地が狭くなれば、当然、建物も「小さく」しか作れません。
しかし、その「狭い・小さい」という条件を、「悪い」と消極的に考えずに
積極的にプラス志向で考えよう、というのが最近の動きです。
最近と言っても、狭小敷地の名作は東さんの「塔の家」で1967年作です。
6坪の敷地で、建物が3.6坪の住宅というのは、あまりにも有名です。
ぐっと古くて、茶室建築は安土桃山〜江戸時代でしょうか、「狭く・狭く」
となりまして、最後は「一畳台目」(台目は3/4畳)という、究極の空間です。
茶室の「狭さ」は、「侘び・寂び」を追求した美学の産物でしょうね。
「塔の家」の場合は、建蔽率が60%で「それしか建たない」という事ですが、
「3.6坪でも家は建つ」という事で、衝撃的な建築でしたね。
今は、「スモールハウス」とか「スモールスペース」とか、言っています。
例えば、書斎でもロフトでも、狭いスペースですと返って落ち着きます。
本なんかも、ヨソに気が散らずにジックリ読めるということもあります。
あと、狭い家ですと広〜い御屋敷より、掃除なんかも楽ですし・・・ね。
日本ではあまり見ませんが、外国では「ツリーハウス」なんてのもあります。
木の上に作った家ですね。これも必然的に「スモールスペース」です。
「ツリーハウス」なんて、なにか「秘密基地」みたいでワクワクしますネ。
「スモール」派は、「小屋」志向で、「バラック」派や「軽薄」派と
相通じるところがあると思います。「ローコスト」派とも近い・・・かな。
「起きて半畳、寝て一畳」という「身の丈に合った」思想ですね。
どうしても、「もう少し広ければいい計画が出来るのに・・・」なんて考えますが、
こんな考え方もあるという事で、「目からウロコ」かも知れませんネ。
|
|