直線上に配置
92: 「軽薄」について

 世の中では、「軽薄」という言葉は、あまりいい意味には使われません。
 「重厚」の方が、一般的には、褒め言葉になっていますよね。
 私は囲碁が趣味で、いろんなことを囲碁に置き換えて考える癖があります。
 囲碁界では、「軽い」というのは、褒め言葉です。全く正反対ですネ。
 「重い手ですねェ〜」なんていうのは、100%悪いことなんですヨ。

 建築界では、今は「軽く・薄く」という思想が割りと主流になっています。
 建築は、石やコンクリートの世界ですから、そもそもが重い材料ですが、
 そのアンチとして、「軽く・薄く」の考え方が出て来た訳です。
 鉄やガラスやアルミの建築です。まあ、それも勿論軽くはないんですが・・。
 「動く建築」や「浮遊する建築」なんて、「究極の建築」で面白いですよネ。

 新潟で言えば「芸文」や「朱鷺メッセ」は、「軽薄」系(?)の建築になりますか。
 「トキメッセ」とくると、「建築探訪」のコーナーでも少し書いたのですが、
 どうしても「連絡通路の崩落事故」に触れない訳にはいきません。
 今はインターネットの時代で、新潟県庁のホームページや、施工担当の
 「第一建設」のHPにも、事故の報告書が出ていて見ることが出来ます。

 まだ、結論が出てないので、あくまで私見なんですが、(2003・10・08記)
 何度か変更があったようでして、まあ建築には変更が付き物なのですが、
 最初の案ですと、トラスの形が左右対称でスッキリと納まっています。
 ところが実施案は、立体駐車場との接続の関係からなんでしょうが、
 トラスの形がバラバラになっています。 →この変更が最大のポイントです。

 立体駐車場との接続は、最初は条件になかったんでしょうか?・・・ネ。
 まあ、別に、コレくらいの変更は常にありますが、構造担当としては、
 形を変えないようにして、強度の「辻褄合わせ」をしなくてはなりません。
 「辻褄を合わせる」ということ自体、本当はアウトなんですけどね。

 変更になった時点で、すでに形が崩れているンですから、私なら
 取って付けた補強をするんではなくて、支柱をもう1本付けたいですけどね。
 形を変えたくないとか、美学もありますし、圧力もあったかも・・・しれません。

 ただ、「一建」さんのHPに、構造計算書にミスがあったと指摘がありますが、
 計算書にミスなんて、いくらでもあります(?)。設計図だって誤記もあります。
 それで壊れちゃあシャレにならないでしょう。それも積載荷重なしですから・・・。

 ただ、人身事故がなくてよかったですよ。一番いい時に壊れましたか・・・ね。
 「政治の不信」が言われていますが、「建築の不信」になっては困ります。
 「犯人捜し」ということではなく、真の原因究明をして貰いたいですが、
 どうも、県の対応の仕方を見ていると、ウヤムヤに終わりそうな予感がします。

 私は「軽薄」派にも「重厚」派にも、どちらに味方をする訳ではありませんが、
 残った通路の仮支柱は止めて貰いたいですね。そんなに信用がないですか?
 まあァ「軽薄」は「仮設」感覚ですから、ずーっと「仮設」もいいでしょうが・・・ね。
 

トップ アイコントップページへもどる
                                          次へ
直線上に配置