アフリカから届いたジェンベを点検調整します

当店はジェンベをアフリカ4か国から輸入しています。皮を張って完成した製品として届いたジェンベを、そのまま皮を締めてお客様にお渡しできる事は、実はそう多くはありません。届いたジェンベを全て点検して、いい音で使い続けていただけるように手入れをいたします。ジェンベ選び方のご参考にお読みいただければと思います。

皮が破れている、破れそう

新しいを張ります。大抵ロープも換えてリングもチェックして、組み直します。
締めてみたら破れたり、また環からずれてしまうというトラブルもあります。しっかり締めていい音にできた物のみ掲載、販売するのはそのためです。
打面の傷は目立ちますが、実は強度上ほとんど大丈夫、という傷もあり、そういう時は換えようかどうか悩みます。
かなりの割合で張り換えになってしまいますので、手間がかかるのは良いとしても勿体無いなと思います。それで裸のボディ+リングの状態で送ってもらい、当店で皮を張り組み立てる事がだんだん多くなっています。

ロープが切れている、切れそう、途中でつないである

新しいロープに換えます。完全な状態ではなくても、皮の寿命まで横に編んで使えそうな場合は、おことわりした上でお渡しする事もあります。
余談ですが、ロープ、と普通に呼んでしまっていますが、ジェンベに使うような編み線は、本当はコード(ひも)、でしょうかね。ロープ(なわ)というと撚り線ですね。太さで区別する考え方と、構造で区別する考え方がありますね。

ボディにひび、割れがある

木は乾燥すると、中心と周辺の収縮率の差によってひびが生じます。ジェンベに使われる木材の多くは中心から外へ向ってひびが入ります。外側からひびが入る場合もあります。丸太をくりぬいて作った品である以上、ある程度のひびはやむをえない物とどうかご理解下さい。きちんとした工房であればひびが出た所はきれいにそして強度もしっかりと補修して送ってくれます。製品になった段階では十分に乾燥が進んでいるため、さらにひびが広がる事はまれですので、適切に処置してあれば大抵は大丈夫です。相当にひびが入って補修をしたジェンベをいくつも自家用、レンタル用で長年使用していますが、ほとんど何ともありません。あまり細かいひびまで気にしてしまうと、本当に良い、いい音がするジャンベを逃してしまう事になります。
ですが、ボディ上端や下端まで達して隙間が開いているようなひびは、補修をしてあっても注意が必要です。直射日光に長く当てたり、暑い車中に置いたまま、エアコンが強く効いた部屋など、極端な乾燥・高温を避けないといけません。程度の差はあれ、こういった注意点は全くひびのないボディでも同じです。もしひびが広がった場合には早めに接着剤等でひびを埋めれば使い続ける事ができます。
ひびや節、破損箇所などは必要な場合には補修・補強をして、状態をお伝えして販売いたします。

音が良くない

原因を探して直します。原因が判った場合でも、皮の交換が必要だったりしますと、とりあえず鳴っている皮を捨ててしまうのは勿体無いもので、悩みます。正中線が大きく横にずれていたりしますと音に影響がありますが、そこそこ良い音になっていればこれもおことわりした上でお渡しする場合もあります。何より、よい音とは?日々勉強です。

リングとボディの大きさが合っていない

ジャンベ分解画像象

ジャンベ分解画像象
よく、ジェンベの皮を止めるリングはボディにぴったりとフィットするのが良い、と言われます。緩いと、逆にきつ過ぎると、どういう問題があるのか、どの位が理想的か、実は微妙な問題です。アフリカから届くジェンベの中には、かなりの割合でリングがきつすぎる物が有り、完成して入荷したジェンベを販売する際の大きな問題になります。リングがきつ過ぎてボディにロープの跡が大きく凹んで残るような物は、チューニング困難で、皮を傷めている事もあります。最近ではどちらの工房も技術が向上していますが、この問題だけはなかなか解消されません。仮にその時はいい音がしていてもあとでトラブルになりますので、修正します。実際の作業は、付いている皮が使えるかどうか、ボディの厚み、歌口から側面への形状、などの要素で異なります。ボディを削る、リング(皮も)を換える、リングに巻くロープ(皮も)を換える、といった方法の中から選択します。
歌口、という言葉が出て来ましたが、太鼓胴の、皮に触れる上端部分の事ですね。管楽器の吹き口と同じ言葉を当てるのは日本の感覚でしょうか。


重過ぎる

重いジェンベはパワフルないい音がしますのでこれは一概に欠点とは言えません。しかし立奏が難しい重さ、というのはあるでしょう。胴が厚過ぎると鳴らすのが大変、という面もあります。程度問題なのでこれもまた悩みますが、重量を落とす事もあります。厚みを確認しながら削ります。乾燥した木は固いのでなかなか大変です。音に影響しますので慎重に慎重に。
相当な重さでも、平気な人も。体力も要りますが、慣れ、バランスなんでしょうか。



長々となりましたが、お読みいただきましてありがとうございます。皆様にJUNJUN渡辺がお伝えしたい事、良いジェンベとは?製作地域や工房、ブランドで決まる事で無く、良い職人さんが丁寧に作り、きちんと手入れされたジェンベだという事なんです。

おまけです。渡辺がジェンベのボディ直しの作業に使っている主な道具、刃物類です。
画像 ボディの外側には平らな刃、内側には丸い刃を使います。もっと色々欲しくなりますが、きりがないのでこの程度です。小刀の類は用途によって研ぎ方を変えますので他にもたくさんあります。かんなの台も自分なりに直しながら使っていますが、きっちりと平面や直線を出す大工さんや家具屋さんから見るとそこは荒っぽいと思います。
刃物とくれば砥石ですね。画像 色々経て残っている物です。手前4つはよく使う、ダイヤモンド、天然石、セラミック2つです。特別な物はありませんが、早さ優先の選択です。丸い刃を研ぐのには丸い砥石を使うと良い気がしますが、ほとんど平らな物で済ませます。どれももう少しきれいにしておけば良かったかなと画像を加工しながら思いましたが、洗わない方が早く研げる気がするので、いつもこんな状態です。どうなんでしょうか。刃研ぎに限らず全てほぼ我流ですので、毎日試行錯誤なんです。


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