「枝豆の病害虫」
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資料:島根県農作物病害虫雑草図鑑

    枝豆(大豆)の病害虫  


紫斑病(ダイズ)
ベト病・葉焼病(ダイズ)
モザイク病(ダイズ アズキ)
カメムシ類(ダイズ)
ハスモンヨトウ(ダイズ)
アブラブシ類(ダイズ)
ウコンノメイガ(ダイズ)
ダイズサヤムシガ(ダイズ)
タネバエ(ダイズ)
ネコブセンチュウ類(メロン,野菜全般,ダイズ)
たんそ病   

紫斑病

○概要
本病にかかると生育が悪くなり、収量は低下する。そのうえ種子は紫色 の斑紋のある紫斑粒となる。このため品質は低下し、選別にも時間がかかる。

○病徴と診断
発芽直後から収穫期にかけて発生し、葉、茎、莢、種子が侵される。病気にかかった種子は播いても発芽がきわめて悪い。発芽しても生育は不良で子葉に雲紋状の病斑ができる。雨が降ると発病した子葉の上に白色のかび(分生胞子)ができる。この胞子は飛散し、本葉を侵すと中ろくや支脈にそって紫黒色の小さな病斑ができる。また、葉柄も侵されて、紡錘形の紫黒色の病斑ができる。 葉が発病する時期は、ダイズの生育初期と成熟期であり、盛夏の頃は発病しない。茎と莢でも、紡錘形または不正形の紫黒色の病斑ができる。病気の莢のなかの種子も発病し、種子のへそやその付近に紫色の斑点が現われる。発病がはげしい場合は、粒全面が濃紫色に変色し、ところどころに亀裂が入る。白色の菌糸におおわれた屑粒になることも多い。このような紫斑粒の発生は、多いときには60%を越えることもある。発病し子葉が脱落した株はその後の生育が悪く、収量は約50%低下する。

○発生生態
この菌は主として菌糸の形で種子に寄生して越冬する。翌年この種子を播くと発芽後、すぐに菌糸が子葉に侵入して病斑をつくる。雨が降ると病斑の上に胞子ができ、これが伝染源となる。また、被害茎葉について冬を越した病原菌は初春から初夏にかけて絶えず胞子をつくり伝染源になる。 水田転換畑の栽培で多いといわれているが、発生が多いのは転換初年度で、年数を経るにつれて少なくなる。成熟期を中心に雨の多い年は発生が多く、紫斑粒の発生もきわめて多い。また、収穫時期が遅れたりあるいは収穫物を長く放置したりすると発病は増える。

○防除法

1.無病種子を播く。
2.収穫は適期に行い、収穫物は速やかに乾燥し、脱 穀調整する。
3.収穫後の茎葉、莢穀は堆肥とするか焼却する。
4.種子消毒を行う。
ベト病・葉焼病

○概要


両病害ともおもに葉に発生し、どこにでも発生がみられる。発生が激しいと落葉し大きな被害となる。また、べと病は種子にも発生し品質を低下させる。

○病徴と診断


べと病;葉、莢、種子に発生する。葉ではまず最初に、表面に円形または不正形の淡黄白色の小さな斑点が点々と現われる。病勢がすすむとこの病斑はゆ合して15o前後の不正形の大きな褐色病斑となる。病斑の裏面には淡黄色の綿毛状の菌そうが盛り上がり、乾燥してくると淡灰黄色〜帯褐紫色となる。種子が侵されると、種皮に灰色がかった黄色の斑紋ができ、その上に乳白〜黄褐色の菌糸が薄くひろがる。種皮にしわが寄ることが多く、亀裂もできやすい。発病が激しいときは落葉し、大きな被害となることがある。 葉焼病;主に葉が侵され、はじめ淡緑〜紅褐色の小さな斑点が現われる。この小斑点はしだいに拡大し、周囲に淡黄色のかさを伴った1〜2oの褐色〜黒褐色の不正形な病斑となり、裏面中央部がやや盛り上がる。発病が激しいときは葉全体が淡黄色となり落葉し、ひどいときは枯死する。莢にもまれに発病し、褐色の盛り上がった斑点ができる。
○発生生態
べと病;この菌は卵胞子という特殊な胞子をつくって種子や被害茎葉で越冬し、翌年の伝染源となる。ダイズの本葉展葉後間もなく発生するが、20〜22℃で湿度が高いととくに発生が多い。このため6月頃から7 月中旬頃に発生が多いが、梅雨の長くつづくような年はとくに多発する。8月上旬頃にはー時発病は止まり、 9月中旬以降収穫期にかけて再び発生する。また、茎葉が茂りすぎて風通しが悪いと発生しやすい。 葉焼病;病原細菌は種子や被害茎葉について越冬し、翌年風雨で運ばれて気孔や傷口から侵入する。このため、風雨の多い年は発生も多くなる。本病は8月頃から発生し始め、収穫間際に激しくなる。

○防除法

べと病
1)被害茎葉は集めて焼却する。また、発病した畑は深く耕して、表土を深くすき込む。
2)外観が健全な種子も保菌していることが多いので、種子は健全株から採種する。
3)密植しないようにし、風通しをよくする。
モザイク病

○概要
ダイズやアズキにモザイク病をおこすウイルスの種類は多く、その伝染方法も様々である。島根県で発生しているウイルスは種子により伝染するものが多いので栽培、採種には十分な注意が必要である。
○病徴と診断
ダイズ:はじめ若い葉の葉脈が透けるようになる。続いて濃緑色と淡緑色の部分が入り混ざったモザイク症状が現われる。葉は小さくなり、ねじれたり巻いたりして、表面に凸凹がたくさんできる。莢は湾曲することが多い。ひどくなった株は生育が悪く、枯れることもある。種子伝染した株は、初生葉(単葉)が小さくなってモザイク症状が現れる。病気にかかった株の種子は、表面に褐色または黒色の斑紋ができ、いわゆる褐斑粒となって品質を損なう。被害の程度は品種、ウイルスの系統、感染時期によって異なるが、10〜75% の減収となる。 アズキ:本葉が展開した頃から発病が始まる。最初、若い葉に小さな淡黄色の斑点が現われたり、葉脈が透けたりして若い葉は黄緑色に見える。その後に出てきた葉には濃淡緑色のモザイク、淡黄色の斑点などが現れ、葉は巻いたりして変形する。つぼみがついても落ちやすい。遅播すると、若いうちに感染するので被害が大きい。
○発生生態
ダイズ;ウイルスの種類や系統はたくさんあるが、本県で発生しているモザイク病の多くは、病気にかかった種子によって翌年に伝染する。この種子を播くと発生し、これに寄生したダイズアブラムシ、モモアカアブラムシなどのアブラムシによってウイルスがうつされる。このためモザイク病の発生時期や発生量はアブラムシの発生時期と発生量や種子伝染株の多少に大きく左右される。6〜7月が高温で乾燥気味の年にはアブラムシの発生が多いのでモザイク病は多発する。 アズキ;ダイズと同様でアズキでも多くの種類のウイルスによってモザイク病がおきる。本県で発生しているモザイク病の多くは病気にかかった種子によって翌年に伝染し、アブラムシによってウイルスがうつされる。生育期に高温で乾燥が続くとアブラムシの発生が多くなり、モザイク病は多発する。
○防除法
1.健全株から採種した無病種子を使用する。
2.モザイク病にかかった株はできるだけ早く抜き取 り、伝染源を撲滅する。
3.ウイルスを伝搬するアブラムシを防除する。
カメムシ類

○概要
カメムシ類はダイズの主要な害虫であり、島根県で発生する主な種類はアオクサカメムシ、ホソヘリカメムシ、イチモンジカメムシ、ブチヒゲカメムシなどである。成虫、幼虫とも種子を吸汁加害し、ダイズの不稔はこのカメムシ類によって発生することが多い。また、カメムシ類の発生は山間地および平坦地でも雑草地に近い畑で多い。
○被害と診断
莢がつき始める頃に成虫が周辺の雑草地などから飛来し、莢が黄色くなり始める頃まで吸汁加害を続ける。被害程度は加害する時期の莢や種子の発育程度によって異なる。 莢の伸長期に吸汁されると莢は黄変して落ちることが多い。種子の肥大初期に吸汁されると種子は肥大せず、莢は収穫期まで偏平で緑色のまま残るものが多い。種子の肥大中期以降に吸汁された莢を収穫期に開いてみると、種子の小さなものでは原形をとどめず黒褐色〜赤褐色に変色し、莢の内面に付着している。ある程度大きな種子はー部がくぼんで変形し、褐色、あめ色または緑色などに変色したり、変形してはいないが部分的に変色したりしている。 アオクサカメムシの成虫は体長が約14mm、黄緑色〜緑色である。ホソヘリカメムシの成虫は体長が約15mm、暗褐色である。イチモンジカメムシの成虫は体長が約 10mm、黄緑色で前胸背には紅色または白色の横縞がある。ブチヒゲカメムシの成虫は体長が約12mm、赤褐色〜黄褐色である。 なお、これらのカメムシ類のほかに茎を吸汁加害するマルカメムシもいるが、この被害は少ない。

○発生生態
これらのカメムシ類は年に2〜3回発生し、成虫が日当りのよい場所の枯草のなかや落葉の間、常緑樹の茂った葉の間などで越冬する。越冬場所から出てきたカメムシ類は種類によってやや異なるが、まずマメ科、アブラナ科、イネ科などの雑草や作物に寄生し、ダイズには莢がつき始める頃から飛来する。そして、発生は莢の伸長が終る頃から種子の肥大が終る頃までが最も多く、莢が黄変する頃まで加害が続く。
○防除法
1.薬剤による防除は、液剤と粉剤は落花後から10日 おきに2回散布し、粒剤は落花10日後に株元施用ま たは葉面散布をする。
ハスモンヨトウ

○概要
ダイズやサトイモ、キャベツ、ナスなど多くの畑作物および野菜類を加害する雑食性の害虫である。島根県では県下全域で発生するが、年による変動が大きい。また、山間部よりも平坦部での発生が多い。
○被害と診断
ダイズでの被害は8月中旬頃からみられ、上方の葉の数枚が白くなる。これは若齢幼虫が葉裏に群がって生息し表皮だけを残して食害する初期被害である。このような被害は、成虫が卵塊で産卵し、ふ化幼虫がしばらくの間、集団で発育するためである。幼虫は中齢まで発育すると分散し始め、葉脈を残して葉肉を食害するようになる。幼虫の発生した株は葉が網目状に見え、多発生した場合は株全体が食害されて丸坊主になるだけでなく莢も食害される。幼虫は成長すると、主に夜間に活動する。被害が主に目立つ時期は9月から 10月にかけてである。 成虫は体長が16〜20mm、翅を開いた長さ34〜41oである。卵は50〜1000個の卵塊で産みつけられ、その表面はラクダ色の鱗毛で覆われる。幼虫ははじめ灰緑色であるが、発育するにつれてー見灰暗褐色になる。頭は茶褐色で背の中央部とその両側に縦の淡黄色の線がある。そして、各節の中央部には左右1対の半円形の黒褐色の紋があり、とくに第1腹節の斑紋は大きい。老熟した幼虫は体長が35〜45mmである。

○発生生態
本種の越冬については十分解っていないが、温度の高いハウス内では冬期も生存している。しかし、露地では越冬できないと考えられている。また、最近、この虫は移動していることが明らかにされつつある。島根県では幼虫の発生実態から、主に移動してきた虫が毎年の発生のもとになっていると思われる。 成虫の発生時期や量は年による変動が大きく、主に 8月頃から11月頃まで発生する。しかし、世代の区分は明確ではない。また、幼虫の発生時期は8月中旬頃からであり、9月以降急増し、11月頃までみられる。雌はー生の間に1000〜3000個の卵を産む。また、夏期には卵から成虫になるまでに40日程度かかる。
○防除法
1.葉が白くなる被害発生初期に注意し、集団で食害 している若齢幼虫を被害葉とともに切り取ってつぶ す。
2.薬剤による防除は、老齢幼虫には効果が劣るので 若齢幼虫期(加害初期)に重点をおく。
アブラムシ類

○概要
ダイズの茎葉や莢を吸汁する小さな害虫で、主要な種類はダイズアブラムシとジャガイモヒゲナガアブラムシである。
○被害と診断
アブラムシ類による被害は大きく分けて吸汁害とウイルス病の媒介のニつがある(ウイルス病については P.39参照)。 ダイズアブラムシはダイズに寄生するアブラムシのなかで最も発生が多く、島根県内ではどこでも見られる。茎葉や莢などに寄生するが、とくに新葉を好む。しかし、寄生する部分は時期によって異なる。6〜7 月頃には主に柔らかい若葉に寄生する。このころ、多発生すると枝先の芽や若葉を萎縮させる。その後、開花後の若い莢が着く頃には株全体に寄生する。とくに若い莢に多数寄生すると種子の成熟を著しく妨げ、品質の低下や減収をきたす。また、品種により寄生程度が異なり、とくに黒ダイズでは多発する傾向がある。 ジャガイモヒゲナガアブラムシはダイズの葉に主に寄生するため葉は黄変し、著しい場合には落葉する。被害は秋に多く、畑の中に穴があいたように見えることがある。 アブラムシ類には同じ種類のなかでも有翅虫と無翅虫があり、条件によって出現する型が異なることが知られている。 ダイズアブラムシの無翅虫は体長が1.0〜1.6mm、体色は濃黄色〜黄緑色、光沢はない。ジャガイモヒゲナガアブラムシの無翅虫は体長が約2.5mm、体色は黄緑〜淡緑色、光沢がある。
○発生生態
ダイズには6〜7月頃に有翅虫が飛来し、その後は秋まで主に無翅虫が増殖を繰り返す。秋になると有翅虫が現れ、越冬植物に移動する。両種類とも年間10回以上発生する。ジャガイモヒゲナガアブラムシはギシギシ、フキなどに寄生して卵あるいは成、幼虫で越冬する。しかし、ダイズアブラムシの越冬については不明である。
○防除法
1.薬剤による防除は、吸汁害が問題になるときは液 剤、粉剤を密度急増期(7月中〜下旬)に1回散布す る。ウイルス病が問題となるときは液剤、粉剤を発 生初期(生育初期)から7〜10日間隔で数回散布する。 または粒剤を播種時にまき溝へ施用するか、発生初 期(生育初期)に株元へ施用する。

ウコンノメイガ

○概要
成虫は中型のガで、幼虫が葉をつづり、そのなかで葉を食害する。島根県全域で発生が見られるが、年や地域による発生の変動が大きい。
○被害と診断
この虫の幼虫は葉を巻き、なかに潜んで葉を食害する。幼虫の動きは敏しょうで驚くと尾部から激しく体を動かしながら後方に動き、葉から落ちたり葉の陰に隠れたりする。老齢幼虫は1〜数枚の葉を縦長の円筒状に巻き込み、糸でつづり合わせて食害する。突発的に多発生すると葉が早期に黄化して落葉するので、かなりの減収になる。しかし、種子を直接食害しないので見た目よりは被害が少ない。 被害は開花期が産卵最盛期(成虫多発生期)とー致する場合、産卵最盛期に茎葉がよく茂っている場合および遅まきして窒素肥料を多用した場合に多い。また、同じように葉を巻く害虫にミスジノメイガがいるが、幼虫や被害がよく似ているので区別は難しい。 成虫は翅を開いた長さが25〜30oで、全体に淡い黄褐色-灰褐色である。幼虫の頭はやや緑色を帯びた黄褐色であり、体は白色を帯びた黄緑色で油を塗ったような弱い光沢がある。全体に細毛がまばらに生えており、終齢幼虫は体長20o程度になる。蛹は長さ14o程度で褐色で細長い。卵は長卵形で平べったく、長径l mmである。表面には網目状のしわがあり、白色半透明である。

○発生生態
年に2〜3回発生する。島根県では7、8月に発生が多い。卵は1〜数個を葉脈に沿って産みつけられる。幼虫は葉から葉へ移りながら5回脱皮し、巻いた葉のなかで蛹になる。卵から成虫になるまで30〜40日かかり、ダイズで2世代を過ごすようである。また、ダイズに発生する前に雑草で幼虫が発生することがあるが、これがダイズにとって有力な発生源となるかどうかは明らかでない。突発的な大発生は多数の成虫が飛来したためと思われるが、越冬状況や発生源などは不明である。この虫はダイズ、インゲンマメ、リョクトウなどのマメ科作物を加害するが、クローバでの被害は知られていない。雑草ではアカソ、カラムシが寄主として知られている。
ダイズサヤムシガ

○概要
 幼虫が葉や茎、莱をつづり合わせて食害する害虫で、成虫は小型のガである。どこでも発生が見られる。
○被害と診断
 幼虫は最初にダイズの先端の新秦をつづり合わせて食害する。被害を受けた新築が大きくなるとしわになり、ところどころに穴があく。その後、蓬や苑に食人する。  ダイズの生育初期には生長点に食入することが多い。そのため茎の伸長が止まり、生育が遅れることがある。泰ができ始めると、燕と荻、または燕と茎葉をつづり合わせ、燕の表面を広く浅く加害したのち、英のなかに食入する。普通、幼虫が食入した莱のW部は非常に汚れている。糞は四角形で比較的大きく、暗褐色である。種子は食入した側から無差別に食宵される。被啓発生量は冬期および夏期の気温が高い年に多い傾向がある。島根県では被害が6月卜旬頃から発生し、7打中旬から8月に最も多く、10月までみられる。  成虫は麹を開いた長さが13-18mmで、体色は全体が淡黄褐色から暗灰褐色である。卵は楕円形で平べったく、初期には乳白色である。幼虫は老熟すると体長が 13-15mmになる。体色は淡黄色、頭と胸のー部は黒褐色で、体の表面には淡褐色の小さな斑点がある。終齢幼虫の頭と胸のー部は淡黄色から燈黄色に変わる。蛇は長さが8-11mmで褐色である。

○発生生態
 年に3-4回発生する。しかし、各世代は重なり合う傾向があり、とくに夏秋期に世代を分けることは困難である。越冬はダイズの食害した部分や枯れた茎葉のなかで蛾、またはソラマメなどのマメ科植物の芽部で若齢幼虫で行う。蟻で越冬したものは3-4月にかけて羽化する。しかし、ダイズがまだ播種されていないため、ソラマメなどで1世代を過ごす。若齢幼虫で越冬したものは5月以降に羽化する。成虫は卵をダイズの葉裏や葉柄、とくに若葉に点々と産みつけるが、英には産みつけない。夏期は卵から成虫になるまでに 30-40日かかる。
○防除法
 幼虫は最初に若葉をつづり合わせて食害するので、 初期被害に注意を払い、爽が着いた後は英のなかへ の食入を防ぐようにする。したがって、薬剤による 防除は被害初期に1-2回、落花後は10日おきに2 -3回散布する。
タネバエ

○概要
 幼虫が播種したダイズの種子を加害する。このほかにインゲン、ソラマメなどのマメ科やキュウリ、カボチャなどのウリ科など多くの作物の種子も加害する。島根県内のどこにでも発生がみられ、とくに未熟堆肥や鶏ふんなどを多く施用した畑で多い。
○被害と診断
 本種の被害は幼虫の加害によって現れるもので、播種時から発芽初期に限られる。被害は発芽前の種子、幼芽および幼茎などにみられる。種子では水分を吸って膨らんだ種子の外皮が柔らかくなった頃に幼虫が外皮に穴をあげたり、外皮の隙間から侵入し、発芽前の種子の内部を食べ尽くす。幼虫の密度が高いときには 1個の種子に10数頭が寄生して食害していることがある。幼芽では、芽がまだ土の中にあるときに双葉の間に入って食害するので、双葉に傷が残り、後の生育が悪くなる。また、芯芽が加害されると枯死する。芽が地表に出ると幼茎や幼根を加害する。その後、本葉が 2-3枚になると茎や根は硬くなるので食入することはない。  幼虫は白色-黄白色のウジで、老熟すると長さ 6mm ぐらいになる。成虫は長さ5皿程度のハエで、雄は暗黄禍色-暗褐色、雌は灰色-灰黄色である。蟻は長径 4.0-5.3mm、短径1.4-1.9mmで、わずかに平たい紡錘形である。色は最初、黄褐色であるが、のちには黒褐色になる。

○発生生態
 年に4-5回発生する。越冬は幼虫、廟および成虫で行われ、3月下旬-4月上旬頃の気温がかなり低い時期から活動を始める。成虫は活動的で未熟堆肥や鶏ふん、油かすなどの有機質の腐った臭いのする所や、耕したばかりの湿った畑に集まり、土のかたまりが地面と接触している部分などに点々と産卵する。成虫の生存期間は50-100日で、雌成虫は700-1000個の卵を産む。幼虫はふ化すると土のなかに潜り、有機質を食べながら発育する。卵から成虫になるまでの期間は春期と秋期の気温が比較的低いときは40日程度、夏期の高温時には20日程度である。
○防除法
1.未熟堆肥や鶏ふんなどの臭気の強い有機質肥料は 成虫を誘引するので播種時には使用しない。 2.薬剤による防除は、播種時に粉剤または粒剤をま き溝に1回施用する。
ネコブセンチュウ類

○概要
ネコブセンチュウ類はメロンだけでなくキュウリ,ダイズなど多くの作物の根に寄生し被害を与える野菜類の重要害虫である。主なネコブセンチュウ類としてはサツマイモネコブセンチュウ,キタネコブセンチュウ,アレナリアネコブセンチュウウが知られている。島根県では前2者が全県下に発生分布する。
○被害と診断
ネコブセンチュウ類に寄生されると,日中葉がしおれ,株全体の生育が悪くなる。株元近くの根を掘ってみると細い根にコブがついている。収穫終期になると根にコブが無数に付き,根全体がコブ状になっている。このコブが形成されることによって根の組織が壊され,水分や養分の吸収が悪くなり,ひどい場合には葉が黄変し枯れることもある。また,土質によっても被害程度が異なり粘質土壌よりも砂質土壌や火山灰土壌などの排水のよい土壌での被害が大きい。 ネコブセンチュウ類は種類によって寄主植物やコブの形,発生分布が異なっている。サツマイモネコブセンチュウはイチゴ,ラッカセイには寄生せず,コブは連続しておりしかも大きく,とくに温暖地に多い。キタネコブセンチュウはイネ科植物には寄生せず,コブは連続せず小さく,コブから細根が出ており,とくに寒冷地に多い。アレナリアネコブセンチュウはワタ,イチゴには寄生しない。

○発生生態
年に数世代を繰り返す。主に卵で越冬し,ハウスなどで植物がある場合には成虫や幼虫でも越冬する。春先に地温が10〜15℃以上になると活動を始める。幼虫は卵の中で1回脱皮し,ふ化した後,根の先端近くから侵入する。幼虫の形は雌雄とも最初ウナギ状である。雌成虫は成長すると0.5ミリメートル前後の球形〜洋ナシ型になる。雄成虫は成長してもウナギ状であり,長さ1oである。雌成虫は多いもので1500個ほどの卵を卵のうのなかに産む。1世代に要する期間は適温条件下で約30日である。
たんそ病

○概要
育苗期における重要病害は、何をおいてもたんそ病でしょう。一度発生しますと感染、拡散が早く、 治療薬剤がないため、健全な苗の確保が難しくなってしまいます。 したがって、まず発生させないことが先決です。そのための管理の要点は、 @ 肥やし過ぎないこと。(一度に多量のチッソを効かさない) A 高温(30℃以上)にしないこと。(+多湿条件の解消。風通し良く) B 水やりは、たたきつけない。夜間に残るほど多量にやらない。 (ドロと水滴で菌が飛散します)  の3点です。そのほか、雨の日に苗に傷がつく作業をしないこと、大雨の後はすぐに、ドロを洗い流すようなつもりで薬剤防除を徹底することです。  次に、たんそ病が罹病しやすい苗になっていないかどうかの判別方法を紹介します。着目点として、葉柄の色を目安にすると便利です。葉柄が白 っぽい場合は注意が必要です。肥えすぎている証拠であり、危険です。


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