かっぱ伝説

町に伝わる二つのカッパ伝説

(第 1 話)
 昔から、鵜ノ池にはカッパ(すじんこ)が住んでいると言い伝えられていました。昔は、この鵜ノ池は近くの村々の子供にとっては、この上もない水泳ぎの場所でした。けれどもカッパが出るというので、大人の人は子供たちに「いいか、池に泳ぎに行ってもいいが、決して沖へ出るなよ。沖の深い所にさもカッパが住んでいて、お尻の穴から肝をとられるぞ。」と言って聞かせていました。
 こんな話をいつも聞いている子供たちは、浅瀬で泳いでいましたが、決して沖へ出て泳ごうとしませんでした。
村人たちの話では、カッパは人間の肝がないと生きていけないが、ふだんは鵜ノ池にたくさん生えている、じゅんさいを食べて生きているのだ、ということでした。
 この鵜ノ池には馬洗いの場があり、農家の人たちは朝と夕方、馬の疲れを直すためこの馬洗い場へ馬を連れて行き体を馬タワシでこすって洗ってやり、水浴をさせるのが常でした。
 ある日の夕方でした。山鵜島の若者がこの馬洗い場人馬を連れて行き、一生懸命馬の体を洗ってやっていました。するとどうしたことか急に馬が騒ぎ出したのです。おかしいなあと思い、「ドウ、ドウ、ドウ、ドウ」と言いながら、馬を前に少し引いてみるとどうでしょう。馬の尾を一匹のカッパがしっかりと握ったまま姿を現しました。
 若者は勇気を出して、「このやろう、ひでえやろうだ。
うんと痛い目にあわせてやろう。」と言いながら、カッパを取って押さえ、カッパの頭についている皿をなぐつて割ろうとしました。この皿を割られてしまえばカッパの命はありません。
 するとカッパは目に涙を浮かべて、「どうか今度だけは勘弁してください。私はこの池に二度と現れません。」と言いながら、何度も何度も頭を下げました。
 若者は、そのカッパの様子を見ているうちにかわいそうになりました。そこで、「お前はこれからどうするのだ。」と尋ねました。
 カッパは「ハイ、私は梶の大滝さん(旧旭村の大地主)の屋敷の西側に、倒れかかった大樺があります。
そこに大きな穴がありますので、その穴の中へ入って暮らします。この木さえ切り倒さなければ、二度と出てきません」と言いました。
 そこで若者は、「約束を守るんだぞ。もう二度と鵜ノ池へは出るなよ。」と言って、カッパを放してやりました。カッパは、若者の方を振り向き振り向き、さもさも嬉しそうに梶の方へ走り去っていきました。
 そしてそれからというものは、鵜ノ池にカッパが出なくなりました。昭和35(1960)年ごろまでは、梶の大滝さんの大樺がありましたが、いつの間にか切り倒されてしまいました。しかし、カッパは鵜ノ池に出ないばかりか、その消息は沓として分かりません。

(第 2 話)
 今から約1〇〇年くらい昔のことです。上小舟津浜という村に、上新保というあみもとの家がありました。
 上新保さんと近所の人たちは、毎日のように漁に出掛け、網に引っかかってくる魚を見ては喜んでいました。 
 そして、とれた魚の半分は上新保さんに、残りの半分は手伝いの近所の人たちに分けてやり、生活を成り立たせていました。
 ある日のことです。いつものように上新保さんたちは、漁に出掛けていきました。そして、「今日も、いわしがいっぱいとれるといいなあ。」「おれ昨日、くじらをつかまえた夢を見たでね。この舟の倍もでっかいやつでね。」と、まじめな顔で話し合っていました。ところがやがて不思議なことが起こったのでした。
 「せぇのお ヨイショ! せぇのぉ ヨイショ!」と、力を合わせて網を引きますが、いつもと違って大変重いのです。やっとの思いで網を引き上げてみますと、その中に一匹のすじんこ(別名カッパ)が引っかかっていました。
 気味の悪いすじんこを見て、人々は「殺すか!」「いじめるか!」などと言っていましたが、 さすがはあみもとさんです。すじんこを網からといで海へ放してやりました。
 そして、その不思議な出来事から時間がたち、夜になりました。仕事を終え、疲れきった体を 布団にあずけ、あみもとさんはいつの間にか眠りに入りました。すると、夢の中に昼間のすじんこが 姿を現しました。どうやら夢知らせのようです。
 「さっきはどうもありがとうございました。そのお礼に、のどけの薬(今の口内炎やのどの薬)の作り方を教えましょう。 お役に立てればと思います。まず、これとこれを混ぜて、ああやって、こうやって・・・。これでできあがります。この薬で皆さんの、 のどを治してやってください。」と言って、夢の中から立ち去りました。
 あみもとさんは、半信半疑で、その薬を作ってみました。出来上がった薬は、黄色みがかっただいだい色で、ややすっかい粉の薬となりました。そこで早速つけてみることにしました。
 薬はのどの奥につけないと効果がありません。そこであみもとさんはいろいろと工夫した末、細い竹の先を平らに切り、その先にのどけの薬を載せ、ふっと吹くと、見事にのどの奥までいくことが分かりました。
 早速ためしにつけてみると、涙が出るほどしみて、よだれがだらだら出てきてしまうのです。″出てくるな″といっても出てくるのでした。しかし、その効果といったらすごいものでした。魔法にかかったように、みるみるうちに治ってしまうのです。それからというものは、この「のどけの薬」は大変な評判になり、近隣ばかりでなく、遠く県外からも買い求め にやってきました。
こうなると「のどけの薬」もだんだんと、大量に作らなければならなくなり、とうとう元になる薬がなくなってしまいました。そこで、直江津の薬屋へ行って、6、7種類の元になる薬を買って来て、これを調合しました。 作り方は、やげんを用いて、これをすりつぶして粉にし、これをちぎ(はかり)にかけて計り、一服ずつ盛りつけ、 更にこれを大きな薬にまとめて売るようにしました。
 戦争中の昭和17年ごろ、元になる薬が手に入らなくなり、 とうとうこの「のどけの薬」を作ることをやめてしまいました。

毎年6月第一日曜日かっぱ祭りが行われます


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