救命士の挿菅  落とし穴も

         昨年末、救急救命士による挿菅の是非について、論議があった。
       気道閉塞や、低酸素のある場合、安全確実に挿菅がなされて酸素が
       送られれば、救命につながることは間違いない。  
         しかし、気管内挿菅を数多く経験した医者ならだれでも感じることだが
       『挿菅は難しい』のだ。筋弛緩薬を投与して十分に下顎や喉が開いても
       気管の入り口が見にくかったり、誤まって食道に入れてしまう事はだれでも
       経験することだ。
         また下手に声帯をつついて、喉頭痙攣を起こし、せっかく開いていた
       気道を閉塞させてしまう場合さえある。救命への期待の一方で、危険な
       落とし穴もあることを、忘れてはならない。したがって、危篤の患者に
       対して、十二分に訓練した者にのみ許される行為と考える。
         研修医の場合、全身麻酔下で、設備の整った状況で十分な練習が
       可能だが、救命救急士のトレーニングは現在どのように行われて
       いるのだろうか。
         今後、法律で認められるようになるなら、麻酔や救急の専門医の
       もとでの研修が不可欠である。