
1日目、小樽着am4.00フェリーの鉄製の桟橋を下りる。
あたりはまだ薄暗く、街灯の灯りが眩しい。
FZR750の彼は初めての北海道ツーリングだと言う。既に宿は決まっていて函館方向からの左回りで北端を目差す。
私の方はとりあえず札樽道路にのる。30分程走ったところで激しい雷雨となる。砂川パーキングで雨の止むのを待ちつつ、うどんの朝食を食べる。途中観光もするが雨の中ではカッパを着替えるのが面倒、一気に東北海道、川湯温泉まで走り、この日はホテル泊となった。
川湯温泉は酸性が強くうっかり顔を浸けるとムッと言う酸気に襲われる。前日洗ったバイクのディスクが真っ赤に錆びていた。
2日目、晴れ。今日は阿寒湖,オンネトー、摩周湖,屈斜路湖と走りが楽しめる筈なのだが、心配していたことが起こっていた。ビデオカメラのシャッターが下りないのだ。昨晩ケースに入れっぱなしにしておいたため、湿気で露つきの表示が出たまま、ダンマリの状態である。レンズも内側から曇っているようだ。
こうなったら少々荒っぽいがホテルの飯場のストーブの上に直に載せて熱してみた。さらにドライヤーで中にも空気を送ってやると。20分程で回復した。
摩周湖で出会ったRC30の彼は今朝、飛行機で着いたばかりだという。バイクも一緒に送る事が出来るらしい。
豪快なワインディングを走るとはじめて北海道に来て良かったという実感が湧く。

阿寒湖に着いたら、土産屋の主人にオンネトーに行ってみるようにいわれ地図を書いてもらう。
オンネトーは暗い緑色をした湖で、どうも魚が住んでいるようにはみえない。岸辺には何故か木賊(トクサ)のような草が一面生い茂っていた。今まで見たこともない湖である。
キャンプ場も沢山あるので、ここをベースにいろんなところを見たり、釣りを楽しんだりするのもいいかも知れない。
小清水原生花園を過ぎオシンコシンの滝を右に見ながら今日の宿泊場所を探す。ウトロのホテル街を過ぎたところにライダーハウス「グリーンハウス」がある。今日はここに泊ることにした。
(一泊500円、食事は一階にある食堂を利用することとある。) カレーライスを食べた。

「グリーンハウス」には岐阜県、広島,京都、大阪と全国からライダーが集まって来る。バイクもオフロード、オンロード、レーサータイプと色々である。
タンクに「今を生きる」と書いたバイクがある。なんと新潟県中条町のナンバーだ。
新潟県の中条高校の生徒だった。夏休みの思い出に50ccのバイクで北海道を一周しているのだ。
話してみるとなかなかしっかりしている。彼は大学ノートを持ってきて、私に何か書いてくれというのだ。そこには今日まで会ったライダーやハウスのおばさんなどの言葉がびっしりと書き綴ってある。私も頑張れよ!と書いた。難しい言葉を考えたが思い浮かばない。
その晩は中条高校の生徒二人と同宿のライダー数人で私の持ってきたツーリングビデオをみた。乗鞍高原の雪の壁の中を走ったシーンなどに人気があった。

翌朝、4時30分早朝の知床の空気を吸いに外へ出る。甘い匂いがする。ちょうどカルメ焼きの匂いのようだ。カルメ焼きというのは赤砂糖をしゃもじにいれて火に熱して造るお菓子。
この匂いは自然の森の樹木が出す樹液の匂いなのだろう。これは後でわかったことだが、フィトン・チッドといって体にも良い作用があるという。
ウトロ漁港へ行ってみた。次々と漁に向う船が旋回して沖へ向って行く。カモメが空を舞って、、まるで演歌にある風景のようだ。
今日はいよいよ知床を走る。快晴だ。

3日目、 ウトロのライダーハウスを出発、しばらく走ると真正面に羅臼岳、知床連山と山並みが続いている。見晴らしの良い所でバイクを止めて景色を見る。知床の原生林を道路が縫うように走っているのがわかる。
あたりはひっそりとしている。車やバイクが点となって近づいて来る、だんだん大きくなるにつれ排気音が聞こえて、車種がわかる。単気筒バイクの音は特に反響が大きい。
知床横断道路の半分位過ぎたところで山の反対側の道が急勾配で上にせり出している。
そこを三つの黒い影が駆け上がって来るのが見えた。
反応的にカメラの向きを正面にセット次のシーンを待つ。
小高い丘を回り込んで三台のバイクが近づいて来た。 私はステップに立っていっぱいに手を振った。三台のライダーも伸び上がって手を振っている。最高だ!走りながら何回も叫んだ。

知床横断道路を抜けて羅臼町から左折すると道幅はかなり狭くなる。とにかく行けるところまで走る。終点が日本最北東突端の地・相泊である。熊ラーメンや露天風呂があり賑っていた。海岸線を標津町に向けR335号を走る。国後が見えるかと何度も停まってみるがガスっていて見えない。この季節は滅多に見ることが出来ないそうだ。海岸は一面昆布が干してある。
炎天下、富良野を目差しひた走る。途中スノーシェルターの中はとんでもなく暑い。TDR250に伴走するも少々飛ばしぎみだ。250ccにもかかわらずそうとう速い。夕暮れ近くに富良野に到着した。TDRくんは駅のトレインへ、私は富良野ライダーハウスで泊ることとなった。既に二人の先客が投宿していたが、もう2か月もこのライダーハウスに居るという彼に、すずらん通りに美味しいラーメン屋があると聞いて食べに行く。
4日目、曇り一路稚内へR40号を快走、途中から雨となりカメラを外したり取り付けたりと忙しい。今度来るときは全天候仕様に改造して来ようと思った。

ようやく稚内へ到着、野寒布岬まで行ってみる。
荒涼とした海岸に灯台だけが立っていて、ガードレールが無いのでユーターンをするときは気を使う。
今日の宿はライダーの家「美雪荘」である。ここは以前の喫茶をそのまま泊れるようにしたもので、きれいに清掃がしてあり気持ちが良い。すぐ脇に稚内温泉がありここで受付けを済ませると夢海道オホーツクの冊子になったガイドをくれる。
きれいな宿で入浴券も付いて一泊1、000円というのは安い。北海道を旅して一番に思うことはライダーに対しての温かい心遣いだ。我々も最低、旅人としてのマナーは守っていくようにしょう。

いよいよ今日で北海道を走るのも最後となった。
日本最北端の響きがたまらなくいい。
遂にここまで来てしまったと言うか、もうこれ以上に道はないのだ。
今日は幸運にも遠く樺太(サハリン)が見える。
最北端の碑で順番を待って記念写真を撮ってから
パーキングに戻るとなんと小樽で別れたFZR750の底押くんが来ているではないか。
まさかここで再会しようとは二人ともビックリである。早々記念撮影を私はビデオで、彼は三脚に一眼レフをセットして行った。お互いに出来上がったら送る約束をして別れた。
彼は帰りは敦賀行きのフェリーに乗ると言っていた。もう会うことも無いかも知れないが思い出として一生残るだろう。
帰路、右手方向に利尻島を見ながら広大なサロベツ原野をどこまでもまっすぐに走る。
夕方には小樽に着いた。
FZR750 底押くん撮影のpohtoから
5日間のツーリングを終え、多くのライダー達と知り合い、そして今、北海道の自然の大きさと人々のやさしさを改めて感じている。